2016年4月30日 更新

目隠しでフルコース。食感を愉しみ、香りに刺激され、味覚を呼び覚ます食体験。

そのレストランでは入口でアイマスクを渡されます。自分のテーブルまではアイマスクをしたまま手を引かれて連れて行ってもらいます。目の前のテーブルに何があるのか、誰かいるのか、お店の広さも、何もわかりません。そんな中で、フルコースがふるまわれます。

目隠ししながらフルコースを完食!

フルコース

フルコース

次々に料理が運ばれてきます。
体験したのは「クラヤミ食堂」。ストーリー仕立てのフルコースをアナウンス頼りに味わって行きます。目の前に出された料理のヒントはあるものの、いったい何なのかは知らされません。ナイフとフォークの場所がアナウンスされ、それを使って食べようとしても、料理が皿のどこにあるのか、なんとか切り分けたとしてもどのくらいの大きさに切り分けられたのかも分かりません。ナイフとフォークに当たった感じで柔らかさは分かります。口に入れてみて、あれかな?とは思っても、確信はもてない。それでもコースは進んでいきます。時には大皿から取り分けたりもします。
そんな目隠ししたままのフルコースを前菜からデザートまでいろんな意味でたっぷり味わえるのがクラヤミ食堂です。

食べ物を味わうことと視覚の関係

食べ物

食べ物

色、形など見た目からの情報がたくさん
資格を奪われたまま食事をすると、普段いかに目からの情報をもとに物事を確信しているかがわかります。見ればなんだかすぐわかる食べ物が、味や食感、匂いなどではこれだという確信が持てません。そしてその事態は、「何を食べているか」から「どんな味か」に興味のフォーカスをシフトさせていきます。何を食べているかわからないけれど、この味は好きだとか、美味しいとか、とても純粋に先入観なく料理を味わうことが出来る体験はとても貴重だと思いませんか。
また、普段は目から得た情報である程度の予測ができます。こんな感じのものが今から口の中に入ってくる、という準備ができているわけです。でも目隠ししていては準備不十分。食べなれた物の食感に驚いたり違和感を感じるのも新鮮ですよ。

見えない中で食器を使うということ

ナイフとフォーク

ナイフとフォーク

目隠ししたままナイフとフォークを手にとって使えますか?
手探りで食器を扱い、目の前のなんだかわからない料理を食べようとするとき、人は些細な感覚にとても敏感になります。たとえば食器から伝わってくる弾力、音。ひとつひとつの情報が目隠しして食事をとるときにはとても重要です。固いものを思い切り噛んだりしないように、ちゃんと口に入る大きさに切り分けられるように。そうやって口に運ばれたものは、やっと口に運ばれてきた食事です。時間と労力をかけて口に運ばれてきた食事です。その環境が人を慎重かつ敏感にさせているため、味だけではなく、匂いや食感、舌触りなど、色々なことに関心がいきます。

お店を出るまでアイマスクを外せないルール

出会い

出会い

人は色々な繋がり方をします。
ところで、目隠ししながらの食事といっても、一人で食事をとっているわけではありません。見たことがない人たちと見たことがないまま一緒にフルコースを楽しむシステムになっています。驚くのがお店を出るまでアイマスクを外してはいけない、ということ。退席も一人ずつなので、レストランの外に出てからアイマスクを外して周辺の人たちを見渡しても、同じテーブルだった人がどの人なのかわからないのです。
私のテーブルは合い言葉を決めました。もう少し、今度は顔を合わせて会談をしたいと思ったからです。貴重な体験を共有した人たちとの再会は感動を生みます。
食事をする時にこんなにも視覚から情報を得ているとは思いもしませんでした。視覚を奪われたことで目覚めた感覚と、視覚、両方で食事を楽しめば今まで食べた事のあるものにまた違った味わいを感じるかもしれません。
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