2015年5月29日 更新

江戸時代、人気だった魚介のおかずって?

江戸時代から、魚料理はよく食べられていたようです。今回は、江戸時代に人気があった魚介のおかずについてご紹介します。

江戸時代の魚介のおかずランキング

Yuichi Kosio (4151)

おかず番付は江戸庶民の食生活の一端を知る手がかりになるものです。ここでは、『日日徳用倹約料理角力取組』(刊行年不明)という番付から、四季を通して人気だったと思われる魚介のおかずをチェックしてみます。

番付内は左側「魚類方(魚介を使ったおかずのランキング)」と右側「精進方(野菜を使ったおかずのランキング)」に分かれていて、魚類方だけでも百品近く掲載されています。
そんな魚類方で堂々の一位、大関は「めざしいわし」。これはご存じのとおり塩を振った鰯を数匹ずつ藁や串などで目の所を刺して乾かしたものです。

二位、関脇が「剥き身切干」。これはシジミやアサリのむき身を切干大根と一緒に煮たもの。

三位の小結が「芝海老のからいり」。殻ごと乾煎りしたものだと思います。

そのほかにも、畳いわし、マグロ剥き身、鰯の塩焼きなど現在でも食卓に上りそうなメニューばかりです。

長期保存ができた「塩鰹」

Heather Paul (4152)

そんな魚介のおかずの中でも、目を引くのが「塩鰹」です。これは鰹を塩漬けにして干したものです。

鰹だけでなく、魚や肉を長期保存し遠くへ運ぶためには、塩漬けにされました。

鰹が良く上がった西伊豆では塩鰹が江戸時代から作られていたようで、長期保存のためでもありましたが、正月の飾りにも使われたことから「正月魚」や「正月用」と呼ばれていたのが訛って「しおかつお」になったのではないか、とも言われています。

『料理早指南』(享和元年、1801年)では、本膳の吸物として、上々のものの身の中頃を切って、ニンジン、ゴボウ、大根、サトイモなどと一緒に糟汁にすると書いてあります。

他にも、煮こぼして塩抜きをした後、船場煮(せんばに)にするなどの料理も書かれています。『料理網目調味抄』(享保十五年、1730年)によれば、船場煮はだし汁の塩を少し強めに仕立て、大根、フキなどの野菜と一緒に煮る料理です。別の料理本によれば醤油を入れたりもするようです。
『新撰献立部類集」(安永五年、1776年)では、塩鰹の焼き物として醤油、もろみを掛けたり、玉子を溶いたものを身に塗り、乾く程度に炙る料理も紹介しています。

塩鰹を使ったもので興味深い料理としては、塩気が軽く残る程度に煮て塩を抜き、適当な大きさに切って蒸した後、茶碗に入れて長いもを擂ったものを上から掛けるものです。これは塩鰹が手に入ったらぜひ試してみたい一品だと思います。

これら料理本に紹介された料理は、本膳料理や懐石料理などでの調理なので、普段は塩を抜いて汁の具にしたか、焼くなどしたと思われます。もしかしたら塩漬けの辛いまま焼いて、ご飯をたくさん食べたり、ほんの少しの身でお茶漬けにして食べたのかもしれません。

焼き魚は・・・?

Koji Horaguchi (4153)

江戸の人たちの食事と言えば、ご飯に味噌汁、焼き魚に漬物、と言ったイメージがあり、鰯やめざしなどはまさしくそのイメージを象徴するかのようなラインナップに思われます。

ですが、この料理番付だけでも魚介類だけの項目で百品近くも上がっているのは、塩漬けで保存する技術があったこと以上に、江戸は目の前に海があり新鮮な魚を毎日魚屋が売りに来たことも大きいのではないでしょうか。それほど手に入りやすく、繰り返し食べられていたことで、季節を問わず上位にランクインしたのかも知れません。

ですが、番付全体を見渡してみると、焼き物、あるいは干物を焼いたと思われるおかずを数えてみると、意外と少なく二十品程度しかありません。全体から見ると、わずか五分の一の量です。逆に、煮物、煮びたしなど煮る調理法が最も多く確認できました。

焼き魚はシンプルな調理法ではありますが、江戸時代では直火に当てて焼き物をする場合、竈ではなく七輪を別途出して来て、火をおこして焼かなければならなかったなど、そもそも火の扱いが大変だったと言う手間があったせいかもしれません。煮物は竈で一度火を熾してしまえば、煮る、炊くなどが続けて出来たので、自然と調理法として多く選択されたのではないでしょうか。


written by rauya

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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部