2015年6月15日 更新

魚の中の王様と呼ばれた鯛と鯉。生造りはいつから始まったのか?

食べタイ、知りタイ、鯛のこと!お目出度い席で出される生造りは江戸時代ではどのように始まったのでしょうか?!江戸時代のおかず番付から東西1位の鯛と鯉の生造りの始まりをご紹介!

photo AC (5468)

料理方魚鳥角力競(りょうりかたぎょちょうすもうくらべ)と言う、魚と鳥の料理番付から二品をご紹介します。この番付は庶民向けのおかずばかりではなく、料理茶屋で食べるような料理も混ざった番付です。まずは東西の最高位、大関である、鯛の生作(イキヅクリ/イケヅクリ)、鯉の生作です。活造り、生造り、生作りなどと書かれるこの調理法は、名前を聞けばどんなものか判りますが、これはいつから始まったのでしょうか?

諸魚の王様だった鯉と鯛

鯉

鯉は淡水魚として、鯛は海水魚として、江戸時代に使われた数ある魚類の中でも一位、二位を争う魚で、まさしく番付の通りです。

鯉は生命力が強く、百歳になると川を遡り、竜門の滝を登って竜になると言われて縁起のいい魚として、特に珍重されてきました。また鯉には利尿作用があり、むくみや黄疸などに利くと言われていたそうです。江戸における鯉は浅草川(隅田川の浅草周辺の別称。宮戸川とも)辺りの鯉は名産で、近くの向島あたりには鯉料理を食べさせる料理茶屋が多くありました。
調理法としては洗い、鯉こく、汁物などが挙げられています。

鯛も同じで、煮ても焼いても良く内臓を補い、力をつけ、常食すれば顔色が良くなり、寿命が延びる……と多くの効能があげられています。『新撰庖丁梯』(享和三年、1803年)では鯛を使った料理はたくさんあるので、一々列挙できない「緒魚の冠(かしら)」とまで表現しているほどです。
刺身と言えば京坂では鯛が当たり前、江戸でもメデタイ席や改まった場の刺身では必ず鯛を使ったと言います。また、刺身以外では『料理網目調味抄』(享保十五年、1730年)では汁物、焼き、蒸、なます、鮨、粕漬けなどが上げられています。

変化してきた料理法、生造り

鯉食べますよ。 | Explore TAKA@P.P.R.S' photos on Flickr. (5474)

現在では「生作」は活きたままをさばいて削ぎ切りにし、頭と尾を残した所に身を盛り付けたものですが、もともとは違ったようで、新鮮な身をそぎ切りにし、冷水で繰り返し洗い締めたものだそうで、洗いと同じようなものだったようです。
 
現在の形の「生造り」がいつごろから始まったのかはハッキリとはしませんが、少なくとも魚を生きたままにしておく設備、いけすなどが必要だと思われます。
『日本橋魚市塲沿革紀要』には、寛永頃(1624~1644年)には大和屋助五郎が駿河(現在の静岡県)あたりの漁場を廻って活鯛の独占仕入れの契約を結び、水中にサクを張り巡らせて鯛を囲っておいた「活鯛場」を設けた、と言う話があります。また、寛政四年(1792年)には日本橋を挟んだ対岸、四日市に幕府が用いる魚を確保する「魚納屋役所」を建てたとあります。別名「御肴御役所」、「肴役所」、あるいは「活鯛屋敷」とも呼ばれたと言います。ここには常時数十種類の魚が確保されており、巨大な生簀があったとも言われています。

料理茶屋があちこちに出来始めたのが安永年間(1771~1781)のことで、この頃にはいけすに鯉を囲った料理茶屋があったそうです。

料理本に生きたままの魚をさばく活造りの方法が見えるのは天明五年(1785年)の『鯛百珍料理秘密箱』ですので、この頃には料理法として確立していたのではないかと思います。また、それ以前の冷水で締める調理法から変化したのは、料理茶屋が使っている魚の鮮度を誇ってのことだったのではないでしょうか。

(rauya)

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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部