2015年6月19日 更新

酢味噌?塩酒?食べ方は様々だった!刺身の歴史

今では刺身といえば「わさび醤油」ですが、昔は酢味噌、辛味噌、塩酒など、色んな食べられ方をしていたようです。刺身のルーツや、江戸時代の江戸と京阪での食べられ方の違いなどをご紹介します

刺身のルーツ

フランキー (6318)

淡水魚の鮒(フナ)は刺身、海魚である鯛を作り身と呼んだり、関東では刺身、関西ではお造りと呼んだりと呼び方の違いやその由来に諸説あるようですが、もともとは魚や動物の肉を生の状態で薬味や調味料と食べる膾(なます)の習慣が中国から日本へ伝播したものです。

刺身が文献に現れてくるのは室町時代ごろからで、長い間に、酢と和える「膾」と調味料につけて食べる「刺身」とに分かれたのではないでしょうか。因みにその十五世紀頃の文献では、主に鮒や鯛を使っていたようです。

江戸時代、大阪や京都での刺身といえば?

江戸時代に入ると大阪や京都では、季節、および料理の高級粗末にかかわらず鯛を主に使っていたといいます。今は高級なマグロも身分が低い人の食べ物だとして、ほとんど食べられていませんでした。身の切り方も一定でなく、皿に乱雑に盛り、酢味噌、またはわさび醤油で食べていたそうです。

初めて酢味噌で食べると目にしたときは、ぎょっとしてしまいましたが、淡白な味の白身魚に酢味噌は合いそうな気がします。

一方、江戸では?

江戸では、重要な儀式などの場面では鯛を用いましたが、平時にはほぼ使われず、もっぱらマグロを食べていたといいます。
フランキー (6291)

京都、大坂での評価とはだいぶ違いますね。マグロも種類が多く、『守貞謾稿』という江戸時代の風俗文化全体を網羅した大系本によれば、季節によって違うものを食べていたようです。

更には冬には鮃(ヒラメ)を刺身にし、鰹も良く食べたようです。身の切り方も厚みや長さをきれいに揃え、器に並べて盛りました。江戸での食べ方は、鯛、鮃は辛味噌かわさび醤油、マグロと鰹は大根おろしと醤油で食べていたといいます。白身の魚と赤身の魚を一緒に盛ることを『作り合わせ』と呼んだといいます。
筆者 (6292)

via 筆者
刺身に添えるのは、高級なところでは絲切大根(大根のつま)、同じく細く切ったウド、生紫海苔、浜防風(セリの一種)、姫蓼(タデの芽)などです。安価な店などでは黄菊、オゴノリ、大根おろしなどが添えられたそうです。
辛味噌は塩気の強い味噌のことで、こちらも味のしっかりした赤身には、合いそうです。味噌は足が早いので、江戸時代は使うその都度買ったそうです。今の味噌は大豆の形などないほど滑らかですが、この頃は大豆もそこまできれいに潰されていない状態だったらしく、必ずすり鉢で摺ってから使ったそうです。

他にも、食べ方は色々!

『守貞謾稿』よりも早い、享保十五年(1730)に刊行された『料理綱目調味抄』という料理の大系本では、刺身に使う魚とそれに合う調味料を列挙しています。

たとえば鯉は煎り酒に山葵、洗いで食べるのが良い。鮒は鯉と同じで煎り酒に山葵。鮭鱒は煎り酒に山葵、生酢(おそらく酢のみ)、酢味噌、葱酢味噌。鯛や鱸は煎り酒、生酢、山葵酢、蓼酢。鰈、マナガツオならからしぬた。鰹、マグロは辛子蓼、生酢、大根搾り汁、葱味噌、塩酒、といった具合です。

※『守貞謾稿』は江戸時代の風俗文化全体を網羅した大系本なので、調味料の記述に差があるのは、一般的なところだけを記載したからだと思われます。
他にも交魚(まぜうお)と言って、今で言う所の盛り合わせには、アジ、サヨリ、海老、イカ、鮑、赤貝などから二三種使うとあります。
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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部