2016年3月17日 更新

そろそろワインをはじめてみませんか? vol.18

みなさんはお正月、お屠蘇を飲まれましたか?お屠蘇はお正月に無病長寿を願って飲まれるものです。お屠蘇の名前の由来は、「蘇」という悪鬼を屠(ほふ)る、邪を屠り生気を「蘇生」させるなどの意味からだと言われています。みなさんはお屠蘇を飲むというと、単に日本酒を飲むことだと思われていませんか?本来のお屠蘇は「屠蘇散(とそさん)」または「屠蘇延命散」と呼ばれる5~10種類の生薬を配合したものを、日本酒と味醂に漬け込んだ薬酒のことです。

味醂は昔飲み物でした

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調味料ではなく、高級な甘いお酒として楽しまれていたのです。

味醂の伝統的な造り方は、蒸したもち米、米麹、乙類焼酎(米焼酎)を混ぜ合わせ長期糖化熟成させます。
この伝統的製造方法で造られた味醂は、爽やかな甘みと焼酎を加えることで生み出される旨みを持ち、デザート酒としても戴ける美味しさです♪

※現在見掛ける味醂のほとんどは、戦後の米不足の頃に開発された製法で造られています。
同じ量のもち米から伝統的製法の約3倍の量が造られ、蒸したもち米と米麹に、アルコールと水アメを加えて、香味を調整し短期間で造られています。
絞りたての味醂は黄金色をしていますが、熟成させるにつれ琥珀色、さらに黒味を帯びた色合いへと変化していきます。
この上品な甘さはとても味醂とは思えません。上品な甘さと旨み、そして熟成により琥珀色に変化するいう点は、極甘口ワインの貴腐ワインにとても似ています♪

ワインには、中甘口、甘口、極甘口と残糖度により三つのタイプに分けられます。
日本食の文化の中で味醂は調味料へと道を変えてしまいましたが、甘口タイプのワイン達は料理と合わせる、チーズと合わせる、デザートとしてなど様々な楽しみ方をされています。

今日は極甘口に分類される、魅惑の貴腐ワインについてお話したいと思います♪

貴腐(きふ)ワインの「貴腐」って何?

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果皮がボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)というカビ菌に感染し、そのカビ菌の繁殖しによって葡萄の果皮(ロウ質)が溶かされ果実の水分が蒸発していきます。
こうして葡萄の水分が奪われ果実中の糖度が凝縮され、干し葡萄のような状態になっていきます。
この現象を貴腐化と呼び、貴腐化した葡萄を「貴腐葡萄」と呼びます。

ボトリティス・シネレア菌は、グリセリン、グルクロン酸などの物質が作り出し、複雑な風味を生み出してくれます。
また糖度が高い為、発酵はゆっくりと時間を掛けて進んで行きます。
こうして貴腐ワインは、コクと旨みを持つ甘さを育て、芳香性豊かなワインへと仕上がっていくのです。

赤い貴腐ワインはないの?

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ボトリティス・シネレア菌によりカビが繁殖することを「灰色カビ病」とも呼びます。
貴腐化は病気でもあるのです。

黒葡萄にボトリティス・シネレア菌が繁殖すると、色素が破壊されてしまいます。
黒葡萄による貴腐ワインも存在しますが、色素が破壊されてしまいますから、色の薄いロゼのようなワインや黄金色にレンガ色が混じったような色のワインに仕上がります。

私は赤い貴腐ワイン(ピノ・ノワールで造られていました)には、一度しか出会ったことがありません。
貴腐化は白葡萄に適した現象で、赤の貴腐ワインは稀な存在のワインと言えると思います。

世界三大貴腐ワイン

Château d’Yquem, Sauternes by Megan Lawrie Cole (17956)

・フランスの「ソーテルヌ(Sauternes)」
ボルドー市の南東ガロンヌ川の左岸、その支流のシロン川を挟み貴腐ワインの産地であるソーテルヌとバルサックがあります。
via Château d’Yquem, Sauternes by Megan Lawrie Cole
Ciron (Indre) by sybarite48 (17958)

via Ciron (Indre) by sybarite48
シロン川流域は林で覆われて水面に日差しが通りにくく、源流の冷たい温度が保たれながら流れています。
水温が低いシロン川が水温の高いガロンヌ川に合流することで、霧が発生し易くなります。
その湿気によってボトリティス・シネレア菌が発生するというわけです。

ボトリティス・シネレア菌が着いたとしても、その後に適度な日照と乾燥がなければ葡萄は腐ってしまいます。
ソーテルヌとバルサックは、この条件を満たすことに恵まれた場所なのです。

貴腐化され水分の少なくなった葡萄を、手作業で一粒一粒確認しながら収穫します。
一本の葡萄の樹からは、グラス一杯分のワインしか造れないといわれています。
気象条件と手間の掛かる作業、貴腐ワインはその希少性から価格も高いものとなります。
Château d’Yquem, Sauternes by Megan Lawrie Cole (17960)

via Château d’Yquem, Sauternes by Megan Lawrie Cole
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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部