2015年9月17日 更新

甘味噌は甘い? 江戸っ子が好んだ麹をたっぷり甘味噌

江戸では塩辛い味噌も使われていましたが、米麹をたくさん使った甘味噌が作られるようになると、一時期は江戸の味噌需要高の60%を占めるほど普及しました。この甘味噌とはどんなものなのでしょう。

味噌の起源

Pixabay (11627)

奈良時代に中国から伝わってきたものですが、原型は「納豆」で、現在のように糸を引くものではなく、発酵させたものではありましたが乾燥していたものでした。それが日本に伝わって時代を経るごとに、味噌は日本に伝わった後は、発酵乾燥させた納豆の系統を継ぐ「嘗め味噌」と味噌汁や煮物、焼き物の調味料としての「味噌」に分かれていきます。
醤油が一般的になる前は、味噌と塩が調味の基本だったようで料理本をみても煮物、焼き物には味噌を使っているものが多く出てきます。
原材料の大豆と麹、塩で作る味噌は、現在ほど滑らかな味噌ではなく大豆の粒が残っているものが多く、料理本の記述に「使う前に良く摺る」と言う記述を多く見かけます。

汁に使う味噌の種類も多くなり、江戸時代では「常の味噌」から始まり、赤味噌、白味噌、五斗味噌(ごとみそ)、名護屋味噌、石州味噌(せきしゅうみそ)などが作られていたようです。

その昔、味噌は買うものではなく、それぞれ家で作っておくものだったようで、『守貞謾稿』では「京大阪では味噌を作る家が多かった」と書かれています。手前味噌、と言う言葉はここから来たのでしょう。

また「何を質に入れても味噌だけは切らすな」や「味噌を買う家に蔵は建たぬ」と言われたほど、味噌を重要視していたようです。一方の江戸では味噌は専ら買うもので、自分で作るものは居なかったとあります。町の成り立ちが「江戸城普請と城下町の整備」のために各地から集められた男性が多かった事や、狭い長屋暮らしでは味噌を貯蔵しておくだけの場所がなかったことなどが影響しているのかもしれません。

江戸の甘味噌

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 甘味噌は白味噌に近い風味の味噌で、塩分が少ない、塩加減が甘いことからついた名前です。この甘味噌の塩と米麹をたっぷり使った甘味加減が江戸っ子の好みに合ったようで、江戸中に広まりました。大豆と米の比率は通常の味噌が1:0.8なのに対し、甘味噌は1:1.2~2とかなり量が多いのが特徴です。

 『黒白精味集』(延享三年、1746年)に甘味噌の作り方が出ていますが、こちらは大麦を使っています。「大麦一斗、大豆八升、塩三升、米六升。塩を入れて煮立てた水を冷ましておく。大麦は一晩水に浸けて翌朝笊へ開けて良く水を切る。煎って皮を取った大豆を混ぜ、蒸籠で蒸す。少し冷ました後、むしろに広げて大麦の粉を振るいかけ、寝かせて麹をつける。冷ました塩水と一緒に仕込み、翌日から1日4、5回ずつかき混ぜて、25日過ぎたら出来上がり」とあります。米の記述が途中から消えていますが、これは大麦と一緒に麹をつけるのに使ったのでしょうから、比率としては大豆の倍になっています。同じ『黒白精味集』の「常の味噌」では、大豆一斗、麹八升、塩四升の比率で作っていますので、塩、米・大麦の比率を考えると塩が少ないのと、麹の多さがはっきりすると思います。

 甘味噌の作り方と通常の味噌の違いは、前述のとおり使う麹の量が多く、塩の量も少ないものですが、作り方も少し違います。通常の味噌は良く煮た大豆を一晩ゆで汁につけたまま冷まし、臼でついて細かくし、そこへ糀と塩を混ぜますが、甘味噌は茹でるか煎った大豆に炊いた麦、あるいはもち米などと混ぜて再度蒸し、つき合わせて塩と麹を混ぜます。
 甘味噌は行程の中で原材料の温度を上げて雑菌の繁殖を防いで作っていると言えます。そのせいか熟成期間が二週間程度と短い反面、通常の味噌ほど日持ちがしないため、毎日、あるいは数日分だけと使い切れるだけの味噌を買っていたのも、江戸ではほとんど味噌を作らなかった理由の一つかもしれません。

一時は江戸、東京では味噌と言えば甘味噌だったそうですが、第二次世界大戦の最中は米麹をたくさん使うためにぜいたく品とされて生産が禁止されてしまいました。一時期よりは少ないですが、現在でも甘味噌を手に入れることが出来ます。普通の味噌汁や、甘味のある方が合う煮物や練味噌などに使っても美味しいと思います。甘すぎるようであれば、通常の味噌と合わせて加減してみるのも美味しいのではないでしょうか。

(rauya)


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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部