2015年9月15日 更新

江戸で使われていた塩は千葉県産の行徳塩

「行徳(ぎょうとく)」とは塩の事を指す隠語で、茶屋や楽屋等で使われた言葉だそうです。塩といえば全ての味の基本となる調味料です。ちょうど良く加減する事を塩梅といったのも、かつては塩と梅の酢で味をつけていたからだと言われています。

塩の起源

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古代ではまだ製塩方法を知らず、魚介類や海藻類などの天然の塩味を利用していたようです。その後、
藻塩焼きの方法を知る海人一族が南方から渡来し、各浦へ教え広めたといわれています。
平安時代の頃に、海水を塩田に汲み上げて天日で乾かす「揚げ浜式塩田」による製塩法が確立します。
江戸時代に入って料理文化が発達し、塩の需要が激増し、瀬戸内沿岸で塩田への海水を引く方法に潮の満ち引きを利用した入浜式製塩法が確立し、安定した生産量と質の「十州塩」(播磨、備前、備中、備後、安芸、周防、長門、阿波、讃岐、伊予)が人気となり、特に播磨は赤穂の塩が上品だとされました。
吉良上野介が浅野内匠頭に嫌がらせをした理由の一つに、自国の経済を立て直すために製塩に注目した吉良が、浅野に赤穂の製塩方法の教授を願ったが、教えてもらえなかったから、と言う説もあるほどです。

江戸庶民の塩を賄った行徳の塩

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行徳は現在の千葉県市川市、浦安市の一部を含む、江戸湾最奥部に位置する地域の地名でした。行徳は現在の箱崎辺りにあった「行徳河岸」から渡し舟が出ており、成田山や鹿島神社への参詣のためによく使われていたといいます。さらに江戸と東関東、東北地方を結ぶ交通、物資輸送の要でもありました。
行徳の製塩事業が何時から始まったのかは不明で、一説には数百年前から始まっていたとも言われています。ここで作られる塩が注目されるようになるのは、徳川家康の江戸入府以降のことです。家康が関八州(相模(さがみ)・武蔵・上野(こうずけ)・下野(しもつけ)・安房(あわ)・上総(かずさ)・下総(しもうさ)・常陸(ひたち)の八カ国)の視察の際に行徳に製塩を見て、軍備に重要な物資であり、行徳で塩を生産しているのは領内第一の宝である、と大層に喜び、製塩事業への出資及び、塩浜の保護ばかりでなく搬送路の整備を行ったそうです。
その後長らく行徳の塩は江戸で使われる塩のほとんどを賄っていましたが、西を江戸川に接し、西・北側に広がる田畑があるため、洪水や大風雨で塩田に真水が流れ込んでしまう地形のため、生産を安定させる事が難しい場所でもありました。
一方人口増加により塩の需要が増えた江戸では不足分を補うため、瀬戸内沿岸で作られた「十州塩」が「下り塩」として江戸へ流入し、行徳の塩は押されていくようになります。
その後昭和四年に塩田が廃止になりますが、それまで減反や塩浜の損壊等の危機を乗り越えて細々と続けられました。

現在でも市川市南部には、「塩焼」、「塩浜」、「本塩」などの地名が残り、塩産地の名残を感じさせます。

(rauya)


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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部