2015年7月10日 更新

生温くてもヒャッコイ?水が貴重品だった江戸の商売

江戸時代、夏になると「ひゃっこい、ひゃっこい」と売り声を上げながら、冷水売りがあちこちを歩いていました。ところてん売り、夏の夜の麦湯(麦茶)売りと共に夏の景物でした。

一服の涼を売る冷や水売り

筆者 (9394)

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 江戸の冷水売りは振売で水を汲んだ桶と器を持って町を周り、求めに応じて売りました。一杯4文で、白砂糖と寒晒し粉の白玉が入りました。8文、12文と払えば、砂糖を増やすことが出来ました。
 器は錫や真鍮の椀で、少しでも冷たさが続くように工夫されていましたが、今ほどの冷たい水ではなかったようです。
 水は朝早く汲んだものですが、昼も過ぎればとっくに生温くなっています。それでも江戸っ子たちはちょっとした日陰で買い求めた冷水を飲んで、涼を取っていました。
 『守貞謾稿』によれば、京阪では振り売りではなく道端に道具を置いて売っていたそうです。団子は入れず、白砂糖だけで一椀6文でした。また冷水売りとは言わず、砂糖水屋と呼んだとあります。

水道が自慢の江戸っ子!しかし、飲食には使わなかった?

筆者 (9397)

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 江戸に入府した徳川家康は、江戸の町整備も同時に進めました。治水や城下町の形成に伴い人口が急激に増えたため、飲料水の確保は必須でした。三代家光の頃の寛永6年(1629)に神田上水が完成し、次いで四代家綱の承応三年(1654)に玉川上水が完成しました。これらの水を水路で引いてきて、神田川や四谷から地中を木製、竹、石で作った水道管を通して江戸の町中に配りました。「水道の産湯に浸かり…」とは江戸っ子であることの自慢の文句でしたが、世界でも水道が完備していた都市は珍しかったのです。

とはいえ、井戸を設置するのは金銭、労力的に並大抵のことではありませんでした。掘り抜き井戸といって、地中深くの岩盤まで掘り抜けば清水が湧きますが、この井戸が一番手間とお金がかかり、なかなか設置が出来ません。ほかの井戸の種類としては、中水の井戸というものがあり、これは浅井戸よりは深く掘りますが、掘り抜きほどの深さはない井戸で、これも地中の水を利用する井戸ですが、飲料には向かず主に洗い物に使ったり、瓜や魚、野菜などを冷やしたりするのに主に使われました。最も多かった浅井戸は、木製の樋で上水を運んでくるものでした。
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 埋立地や上水も届かない海に近い深川辺りではすぐに塩気が入り込んでしまうため、飲み水や食べるのに使う水は、たくさんの桶に水を汲んで売りに来る水船や、振り売りで売り歩く水売りから買っていたそうです。これは現在の水道橋から江戸城に送った上水の余りを外堀へ落としている水を汲んだものでした。

 この頃はまだ製氷技術がなく、北国は冬の間に積もった雪の塊や自然に凍った天然氷を氷室で保存していましたが、もっぱら品物の保存などに使ったり、地元で消費される以外は、将軍や天皇に献上される程度で、江戸庶民には手の届かないものでした。

 加賀藩が六月朔日に将軍家に献上し、大奥へも下賜されましたが、保存用の藁やおがくず、土などが付いたもので食べるのには適さなかったようです。
 氷が一般に広まるのは、明治に入ってからだそうです。

(rauya)


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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部