2015年7月4日 更新

カステラと言うお菓子はない?西洋から伝わったお菓子

 カステラと言えば某有名なコマーシャル。そして長崎で主に作られているお菓子で、オランダから伝わったものですが、正確にはオランダのお菓子ではなく、スペイン、またはポルトガルのものだと言われています。また『カステラ』と言う名前の食べ物は存在せず、日本でつけられた名前のようです。では、どのように日本に伝えられたのでしょうか。

宣教師と共に伝わってきたお菓子

Pão de ló by Bosc d'Anjou/flickr.com (9063)

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 カステラのもとになったお菓子には二通りの説があります。ひとつはスペインの主にカスティーリャ地方のお菓子、ビスコチョ。もうひとつはポルトガルのパン・デ・ローと言うお菓子です。ビスコチョは現在、「スポンジケーキ」と「固いパン」の両方を指すようですが、15~16世紀の大航海時代では小麦粉と卵で作った生地を二度焼きした硬いもので、保存食として船に積み込まれていました。
 一方、同じく小麦粉と卵を使った生地を焼くパン・デ・ローが初めて文献に登場するのが十六世紀ごろです。パン・デ・ローはふんわりと膨らませた柔らかいお菓子です。また同時期に砂糖が普及し始めて、スペインでも柔らかいビスコチョが作られ始めました。スペインとポルトガル、どちらのものが日本に伝わってきたのかはっきりしませんが、カステラの原型となる柔らかいお菓子は、砂糖の登場が大きな役割を果たしたのではないかと思われます。
 カステラを含む南蛮菓子の製法は、1549年日本へ辿り着いた、フランシスコ・ザビエルが持ち込んだと言われています。ポルトガル語の「カスティリャのお菓子」、「Bolo de Castella(ボーロ・デ・カスティリャ)」のボーロが取れて伝わった説、あるいは卵白を城のように高く泡立てると言う意味の「Bater em Castelo」がカステラになった説があり、カステラという名前になった説は諸説あり判然としません。

日本独自の製法を辿ったカステラ

casanisa/shutterstock.com (9067)

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 日本でカステラが作られた記録が登場するのは寛永三年(1626年)頃のことだそうです。これから約60年後に刊行された『合類日用料理抄』(元禄二年、1689)には「かすてらぼうろの方」と題してカステラの作り方が出ています。材料は白砂糖、卵、うどん粉を捏ねて丸い菓子鍋に油紙を敷き、生地を入れて蓋をし、上と下から火を入れて焼く、とあります。また、鍋の下から当てる火は弱くすること、と言う注意書きがあります。

 享保三年(1718)に日本初の菓子専門書『古今名物御前菓子秘伝抄』が刊行され、そこにもカステラのレシピが登場しています。約170年経ったこの頃には、既に渡来ものの珍しい菓子ではなく、すっかり日本に浸透したお菓子という存在になっていたのではないでしょうか。

 更に70年ほど経つと、寛政元年(1789)に刊行されたサツマイモだけの料理本『甘藷百珍』では「加須底羅いも」としてサトイモを使ったアレンジ版が登場しています。また、『料理早指南』(享和元年、1801)には、魚のすり身を使ったカステラ焼と言うアレンジレシピが紹介されています。
 更に『四季献立 会席料理秘嚢抄』(天保十三年、1842)では通常のカステラの焼き方以外に、卵の代わりに長芋で置き換える精進カステラのレシピまで出てきます。
 いずれの料理本でも、鍋の上下に火(=火のついた炭)を置いて焼く記述があります。これはオーブンのない時代の工夫だったのでしょう。『合類日用料理抄』にあった菓子鍋は上にも炭火を置いたことから、平たい蓋と底を持った丸鍋だったのだろうと思われます。同じく前出の『料理早指南』では料理道具の一つとして「かすてらなべ」と言う名で浅い方形の鍋の図が乗せられています。図の説明書きには「大ぶたあり」ともありますので、これも蓋に炭火を置いたのだと思われます。『古今名物御前菓子秘伝抄』では、胴の鍋に生地を入れ、更に大きな鍋に入れ、その鍋の上下から火を入れて焼くとあります。おそらくカステラの製法としてオーブンのように全体を高温に保つ設備で焼く必要があると言うことが伝わっており、それを日本なりに工夫した結果ではなかろうかと思われます。

(rauya)

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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部