2015年4月13日 更新

【ごはん映画】見事に一世一代の大勝負!!ウイスキーの魅力に引き込まれる『天使の分け前』

【コラム】"食"にまつわる映画を紹介する「ごはん映画」の連載、今回は『天使の分け前』第65回カンヌ国際映画祭審査員賞にも輝いた折り紙付きの一本!普段飲むことがなくても、思わずウイスキーに手を伸ばしたくなる映画です。

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今回の“ごはん映画”のテーマは、いま日本で大ブームを巻き起こしているウイスキーです。

ところで、皆さんは「天使の分け前」という言葉を知っていますか? 

それを説明するには、先にウイスキーのつくり方をお伝えしなければなりません。ちょっと専門的なハナシになりますが、お耳を拝借。ウイスキー、特に大麦麦芽のみを原料とするモルトウイスキーは、大麦麦芽のデンプンを糖化して甘い麦ジュースを作り、それに酵母を加えて発酵、そして蒸留し、さらに樽の中で熟成することによって香り高き琥珀色を得ています。熟成には何年、何十年もの長い年月をかけます。赤ちゃんが産声を上げるまで、母親の胎内で深い眠りについているような感覚ですね。この熟成のさなかに、ウイスキーは少しだけ蒸発して失われてしまいます。これを天使の分け前というのです。なにやらロマンティックじゃありませんか?

映画『天使の分け前』では、天使の分け前という言葉の“意味”が物語の鍵を握ります。

物語の舞台はウイスキーの本場・スコットランド。恵まれない環境に育ったせいで喧嘩沙汰が絶えない主人公の青年、ロビー(ポール・ブラニガン)は、恋人レオニー(シヴォーン・ライリー)と生まれてくる赤ん坊のために生活を立て直したいと願うものの、まともな職も家もなく、またもやトラブルに巻き込まれてしまいます。かろうじて刑務所送りは免除されますが、その代わりに、裁判所から300時間の社会奉仕活動を言い渡されます。

活動初日。作業中にレオニーが男の子を産んだという連絡が入り、ロビーは現場指導員のハリー(ジョン・ヘンショー)と共に病院へ駆けつけます。が、ロビーとレオニーの結婚に猛反対するレオニーの父親(ギルバート・マーティン)と遭遇し、殴りつけられて追い返されてしまいます。ハリーはロビーを自宅に連れ帰り、とっておきのウイスキー「スプリングバンク32年」で慰めます。ハリーはミニチュアボトルを集める大のウイスキーの愛好家でした。

あるときハリーは社会奉仕活動の合間にロビーたちをウイスキーの蒸留所へ案内し、ウイスキーの製造工程を見学させます。見学を終えた一行はビジターセンターへ。そこでロビーはさまざまな銘柄を口にしてウイスキーの魅力に引き込まれ、そして驚くべきテイスティングの才能を発揮します。

自分に自信を持ち始めたロビー。しかし、レオニーと息子との穏やかな日々を手に入れるためにはチャンスが必要です。ある日、ロビーはとあるオークションに目の玉が飛び出るほどの高値が付く超高級ウイスキーが出品されることを知り、それを密かに盗み出して人生の一発逆転を目指すのですが……。

劇中には、さまざまなスコッチウイスキーの銘柄が取り上げられます。前述のスプリングバンクのほか、ラガヴーリン、グレンファークラス、クラガンモア……。ロビーもテイスティングの際に表現していましたが、ウイスキーは似たような外見であっても、その製造方法によってそれぞれが独自の風味を湛えています。バニラや蜂蜜のような香りがするものもあれば、潮の香りがするもの、煙臭いものなど、そのバリエーションには驚かされます。
また、ウイスキーの味わい方のひとつとして「トワイスアップ」というものが紹介されます。これはウイスキーと常温の水を1:1の割合で混ぜた飲み方で、ウイスキーの香りを楽しむにはもってこい。実際にプロのブレンダーはこの方法でウイスキーをテイスティングしています。

それから、ウイスキーファンなら、実在する蒸留所が登場するのも見逃せないでしょう。一つは、蒸留所密集地であるハイランドの南に位置するグレンゴイン蒸留所。そして、もう一つは同じくハイランドの北部で1790年に創業した老舗のバルブレア蒸留所。ここはロビーにとって一世一代の大勝負の現場として使われています。

物語のラスト。見事に一世一代の大勝負を成功させたロビーが、自分とウイスキーを出合わせてくれたハリーに向けた粋な恩返しが秀逸です(これが「天使の分け前」に繋がるのですが、ネタバレになるので割愛)。

第65回カンヌ国際映画祭審査員賞にも輝いた折り紙付きの一本。ぜひ、皆さんの目で味わっていてください。きっと、心がじんわり温まって、琥珀色の美酒に手を伸ばしたくなることでしょう。

(甘利美緒)
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『天使の分け前』
¥4,700+税
発売・販売 KADOKAWA
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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部