2015年7月2日 更新

ウナギに並ぶ夏のスタミナ食、ドジョウ鍋

夏の献立として載っている、「ドジョウ鍋」。江戸時代ではおかずになるほどよく食べられていたようです!

一般的だったドジョウ食

slash__/ Flickr.com (8966)

 ドジョウは栄養価が高く、精力がつくことから、昔からよく食べられていたようです。『当流節用料理大全』(正徳四年、1714)ではドジョウの効能と毒性について「百病にたたらぬ物」とあります。『本朝食鑑』(元禄十年、1697)にも身体を暖め、気を増し、腎を補い、血を調え……と多くの効能が挙げられており、まさにスタミナ食だったようです。

 ドジョウ鍋、ドジョウ汁ともに夏の季語ですが、これは夏になるとドジョウが水面に浮いては沈む姿が見られ、獲りやすかったこともあるのかも知れません。
 元々は内蔵や頭が付いた丸のまま味噌汁で煮たドジョウ汁が始まりでした。江戸、京都、大坂の三都でよく食べられていたもので、京坂では生簀に囲っておいて売ったそうです。『料理物語』(寛永二十年、1643)をはじめとする料理本にもほぼ味噌で煮る調理法が書かれています。ゴボウや大根を一緒にいれて煮て、山椒をかけて出すのが一般的だったようです。今も残るドジョウ鍋の老舗、『駒形どぜう』で葱を山盛りにして食べるのも、山椒同様、ドジョウの臭みを消して食べやすくするためだったと思われます。
 泥臭さを取るためにぬかで洗い、ヌメリを取って濁り酒で下煮をするなどの下ごしらえもあったようですが、ほとんどは何もせずに煮ていたようです。料理本にも取り立てのドジョウは塩水に少し入れておきゴミを吐かせるなどの手法が載っています。また、酒に漬けたものを煮ると骨まで軟らかくなったそうです。

 味噌汁ばかりでなく、醤油で丸のまま煮付けたものを丸煮と言って売りました。この頃ではドジョウ汁、鯨汁は一緒に売られていたようで、どちらも1杯16文でした。これを鍋にしたものは48文だったそうです。

柳川鍋はいつ出来た?

y.ganden/ Flickr.com (8970)

『守貞謾稿』(嘉永六年、1853)によれば頭、内蔵と骨を取って鍋にしたのは文政の初めごろのことだそうです。始めは鰻だったそうですが、後にドジョウでも同じように処理されるようになったようです。その後、天保年間(1830~1843)には、柳川鍋が登場します。裏長屋の四畳ばかりの所を客席にし、なべ底にささがきゴボウを敷いて上にドジョウを並べ、玉子でとじたドジョウ鍋を出したのが「柳川」と言う店だったため、これを柳川鍋と呼ぶようになったとか、鍋が福岡の柳川で作られた土鍋だったから「柳川鍋」と呼ばれるようになったなど、諸説あります。
 ドジョウを煮る鍋は底が浅くなっており、さらにその下に湯をはった鍋に重ねて冷めにくくして提供されたと言われています。
季語で「ドジョウ掘り」だけが冬となっていますが、これは冬に泥を掘り起こすと、越冬のために何十匹も固まっている姿が見られることからのようです。

 またドジョウは旧仮名遣いでは「どぢやう」、あるいは「どじやう」と書くのが正しく、料理本のほとんどはこのどちらかの表記です。ですが、まれに同じ本内で「どぜう」と書かれているところもあります。『駒形どぜう』が文化三年(1806)に看板の表記を「どぜう」に変更しました(『駒形どぜう』、歴史内「のれんの由来」より)。それが「どぜう」という表記の始まりのように思えますが、それより早く刊行された『古今料理集』(延宝二年、1674)にすでに「どぜう汁」の表記があることを考えると、少なくとも一部では昔から『どぜう』と言う書き方があったのではないかと思われます。

(rauya)

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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部