2015年7月8日 更新

最初はお菓子じゃなかった?中国から伝わった羊羹

 羊羹と言えば、コンビニで食べきりサイズをお手頃な価格で買うこともできる和菓子の一つです。煉り羊羹以外にも種類があり、また味も小豆餡から抹茶味のみならず、色々な味の羊羹を楽しむことが出来ます。この羊羹、元は中国から伝わってきたものですが、元々は別の料理だったようです。

日本へは鎌倉、室町時代に伝わってきた、羊の料理

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 中国は宋の時代、羊羹は羊の肉と野菜の汁物の料理を指していました。これが鎌倉、室町時代に禅僧によって日本へ持ち込まれましたが、肉食を禁じられていた僧たちが小豆、小麦粉などで動物の肉のように見立てて作ったのが始まりだと言われています。

 室町時代には、葛とアマヅラで作った粗悪なものでした。材料も山芋、小麦粉などを使って蒸したものでした。場合によっては色を調整するために鍋墨を加えて羊の肝臓のような色にしたともいわれます。この頃の作り方としては砂糖も使われていたようですが、まだ一般には行き渡っていない高価なものでしたので、江戸後期の嘉永六年(1853年)に出版された『守貞謾稿』の頃でも砂糖が手に入らない場合はアマヅラを使うと書かれています。

 室町時代からその後、長い時間をかけて技術が向上しましたが、江戸時代の中頃まではまだ蒸し羊羹が主流でした。『合類日用料理抄』(元禄二年、1689)に蒸羊羹の作り方が載っています。
 これが約百年経った『卓子式』(天明四年、1784年)になると、豆砂の名前でやや煉り羊羹に近い製法になっています。

練り羊羹が出来るきっかけになったあるもの

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 蒸羊羹に代わり煉り羊羹になったのには、とあるきっかけがあります。それが、寒天の存在です。おそらくそれまではテングサを単純に煮溶かしていただけだったのが、固まった寒天を凍らせたものが、また同じように湯に溶け、再び固まると言う特性が発見され、寒天を乾物にして保存することができるようになったことが大きかったのではないでしょうか。

 寒天が広く行きわたるようになってから、寛政頃(1789~1801)に御用菓子屋大久保主人の子孫、喜太郎が初めて作ったと言われています。その後文化の中(1804年)頃、船橋屋(現在の船橋屋とは異なる店だそうです)が煉り羊羹を売り出しましたがその頃、船橋屋は開業したばかりで、周りの老舗の菓子舗は蒸羊羹ばかりだったようですが、徐々に隆盛を誇るようになっていったようです。
 この頃の羊羹は長さ六寸、厚さと幅、各一寸ずつを一棹としていました。大体長さは20㎝、幅が3㎝程度でしょうか。京阪では竹の皮に包みましたが、江戸では折敷に包んでいたそうです。
 煉り羊羹がもてはやされたとは言え、まだ砂糖が高価だったため一棹、銀二匁(銭換算だと約130文位)の高級品でした。当時はやっと日本で作った砂糖が菓子作りに使われ始めた頃で、まだ広く一般に砂糖が広まっているとはいいがたい状態でした。そのため、来客のお茶うけに羊羹を出そうものなら、上客の扱いだと言外に示されたようなものだったそうです。客の方も心得たもので、この羊羹は食べないでお茶だけ飲んで帰るのが暗黙のルールだったそうです。この羊羹は客が帰れば水屋などに仕舞ってとっておき、客が来てはそれを出し、また仕舞うと言うのを繰り返して、外側が砂糖でパリパリに固くなるまで取っておいて、やっと主人が食べたと言うくらい貴重品でした。
 ですので、客が羊羹を食べてしまった時など

 『羊羹を すなおに食べて 睨まれる』

 などという江戸川柳が読まれたほどでした。

 それほどの珍しさゆえか、『精進献立集』(文政二年、1819年)では酢の物に羊羹を使っています。
 また、江戸城では6月16日に行われる暑気払い、厄除けの行事、嘉祥(かじょう)で諸侯へ振る舞う菓子の一つとしても使われたそうです。

(rauya)

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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部