2015年5月18日 更新

江戸時代の滋養効果の薬「ももんじい」っていったい何!?

江戸時代と言えば専ら野菜と魚介類が食事の材料と言う印象ではないでしょうか。江戸時代では鳥肉も食べていました。鴨鍋や雁鍋などが有名です。そればかりではありません。実は鳥以外も食べていたのです。

江戸時代にも肉は食べられていた?!

江戸時代から明治になり西洋文化が流入したものの、当初は牛を食べるなどと言えば、誰もが眉をひそめたと言うくらい江戸時代では肉は食べられていなかったと思われています。

正確には江戸時代にほとんど食べられていなかったのは牛肉で、鳥肉は食べられていました。そして意外なことに猪、鹿なども食べられていました。
 
元々古代から日本でも肉食が行われており、国学者であった喜多村筠庭が記した『嬉遊笑覧』(文政十三年、1830年)には、古代には天皇も肉を食べ、神供には狸や狐を奉じたとあります。

肉食を禁じるきっかけになったのが、天武天皇が発した禁令です。天武天皇が在位して四年の頃(およそ675年頃)に牛、馬、犬、猿、鶏の肉を禁止した、との記述があります。この禁令の目的は稲作促進のための禁令であり、禁猟期間と狩猟方法を制限し、全面的な肉食禁止ではありませんでした。鹿、猪やその他の動物の肉はこれまで通り食べられていたのだと思われます。

ですが、稲作に役立つ動物を食べることを禁ずる触れはその後何度も行われ、次第に肉食そのものを忌避するようになっていきますが、それでもなお隠れて食べる人もいたようです。
丹羽篠山: いわや: 牡丹鍋 by rok1966 | Flickr (3032)

寛永二十年(1643年)に刊行された『料理物語』には「第五 獣之部(けだもののぶ)」と題して、鹿、狸、猪、兎、カワウソ、熊、犬の名前が挙がっています。また、四谷には獣肉の市が立ち、獣肉を調理して食わせるよしず掛けの粗末な店もあったと言います。
 
長い間に繰り返し禁令が出されたことと、仏教の影響で、自宅で肉を調理する際は穢れを恐れて野外に七輪を持ち出して調理をしていました。また、人によっては絶対に箸をつけず、またそれを食べている場に一緒にいることすら拒むこともあったようです。

一方で獣肉は滋養をつけると言われ「薬食い」と称したりし、毛むくじゃらの妖怪になぞらえて「ももんじい」と呼んで食べられていました。『料理物語』から約五十年経った『本朝食鑑』(元禄八年、1695年)では、牛肉から猪、鹿、熊、など本草学の観点から細かく効用が書かれています。さらに約二十年経って刊行された料理本、『當流節用料理大全』(正徳四年、1714年)では、「獣物類能毒」と題して、鹿、狸、兎、鼠、オオカミ、カワウソ、狐の肉それぞれについて効能を述べており、肉食が全くなくなったのではないことがわかります。

これらを食べさせる店は朱で書いた「山鯨」の二文字に牡丹や紅葉を書いた行灯を出していたそうです。文化・文政の頃には麹町に一軒だけ、冬から春まで売る店があっただけで、食べた人もそれを決して人に話さなかったそうです。ところが時代が下るにつれて店が増え一町に一軒はあるくらいになり、むしろ食べたことを誇るほどの盛況となりました。中でも両国の豊島屋、神田の港屋、鍛冶橋の尾張屋といった店が有名でした。

一番は味噌仕立ての鍋で!

工藤隆蔵 |足成 (3035)

猪肉を牡丹、鹿肉を紅葉といいますが、これらは「唐獅子に牡丹、竹に虎」というめでたい取り合わせと、「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋はかなしき」という古今集の歌から取られました。肉を「しし」と呼んだことから「獅子」に通ずると言う辺りから呼ばれるようになったのだと思われます。

儒学者であった寺門静軒が記した『江戸繁昌記』(天保三年、1832年)によれば、葱を煮汁と共に煮込んだ鍋形式で供されたようです。値(段)も三種類あり、小鍋が五十銭、中鍋が百銭、大鍋で二百銭。上戸は酒と一緒に、下戸は飯とともに食べた、との記述があります。この頃の鍋と云えば大体味噌仕立てだったようです。

前述の『料理物語』には焼く以外にも、汁もの、肉によっては吸物の種としたようで、醤油に鰹出汁、または味噌を専ら使って調理していたと思われます。

今では専ら牛、豚、鶏ばかりになり、他の肉は珍しい肉と言う扱いになっています。これは牛肉が体に良いという宣伝がされたこともありますが、日本が開国して西洋人から牛肉や豚、鶏を食べる習慣が入ったことやその食事が人気となり、人々の間に爆発的に広まったことで他の動物の肉が廃れてしまったこともあるのではないでしょうか。

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written by rauya
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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部