2015年8月11日 更新

昔から親しまれていたタコを使った江戸時代のおかず

 江戸の人々の食生活の一端が垣間見える『日日徳用倹約料理角力競』と言うおかず番付から、秋のおかず、とくにタコを使ったおかずをご紹介します。

昔から親しまれていたタコを使った江戸時代のおかず

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 たこは日本では古くから食べられていたようで、弥生時代のたこ壺型の土器が見つかっている事から、漁法としてタコ壺を使っていたことがわかります。
 『本朝食鑑』(元禄10年、1697年)、『倭漢三才図会』(文政7年、1824年)ではタコの説明として「烏賊に似ており大きな八足である」と言う記述があり、烏賊とタコは見た目からも近いものとして扱われてきたようです。
 『本朝食鑑』では血を養い、気を増し筋肉を強くし、骨を大きくするなど多くの効能が書かれています。栄養成分としても低カロリーのたんぱく質源で、タウリンを豊富に含む食品です。しかし、消化に時間がかかるためか、病人は忌むべし、と『新撰庖丁梯』(享和三年、1803年)には書かれています。
 料理本でのタコの扱いは中魚で整え方によってはもてなしにも使えたと言うことでしょうか。

 タコを扱った料理も多く、煮物から膾、焼き物など多くの品が紹介されています。その中でも一番に名前が挙がるのが、タコの桜煮です。

タコの桜煮

筆者 (10553)

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 桜煮は別名桜煎とも呼ばれる料理で、タコの足を切り醤油などで煮たものです。
 桜煮(桜煎)の料理の名前は、江戸時代の多くの料理本で取り上げられています。そのほとんどが皮付きのまま小口切りにしたたこを、醤油で煮る料理法です。『料理物語』(寛永二十年、1643年)によれば小口で薄めに切り、さっと煮るとあります。『古今料理集』(延宝二年、1674年)にも煮過ぎると身が固くなりよろしくない、とあります。

いも煮タコ

筆者 (10556)

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 サトイモとタコを煮た、今でもなじみ深い料理の一つです。料理本にはレシピが入らないほど一般的な料理のようで、『黒白精味集』(延享三年、1746年)のタコの煮方の所でやっと見つかるほど記述が少ないものでした。
 『黒白精味集』では味噌でタコの足を一本ずつよく扱き、鍋かすり鉢で味噌を一掴み入れて良く揉んだあと、乾煎りすると吸盤も落ちず歯切れよく柔らかになるとあります。その際に里芋を四つばかり入れるとあります。
 柔らかに煮るとともにタコの旨みが染みたサトイモも食べられた、ということなのでしょうか。それにしてはサトイモにつく味噌味が辛すぎるのではないかと心配になりますが。

 江戸時代でタコを柔らかく煮るには、ひたひたの酒で煮た後に薄い茶を入れてまた煮るなどの方法がありました。今では炭酸水で煮たる、身を叩いておく、圧力鍋で煮るなどの方法があるようです。

酢だこ

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 酢だこは酢さしみ、膾などの類に入ると思われます。酢だこの詳しい調理法は『素人庖丁』(享和三年、1803年)の他は見つかりません。現在では酢に足のまま漬ける方法が多く見られますが、『素人庖丁』によれば、細かく薄く切って塩を少し入れた酢に良く漬け込むとあります。4、5回酢を変えて、その度に良く手で揉み込み、生姜の千切りを添えて出します。一緒に出す時に酢の物のように酢をかけて出すことはしないとありますので、それだけよく漬け込んだと思われます。
 今ならワカメやきゅうりを添えて、味が足りなければ醤油やポン酢を少しかけると、夏の暑い時期にも美味しそうですね。

 タコは其の姿や形、教義上の問題から食べない国や宗教もあるそうです。英語でもかつて「devil fish」とも呼ばれていたそうですが、ほぼ古語だそうで、今はむしろ「マンタ」を指す言葉になっているようです。海産物を食べる国以外は「クラーケン」などの人間を襲ってくるような怪物を想像したからでしょうか。

(rauya)

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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部