2015年7月30日 更新

そろそろワインをはじめてみませんか? vol.13

ワインの裏ラベルに書いてある”酸化防止剤”って添加物?って思ったことありませんか?今回はその疑問にお答えいたします!

borzywoj/Shutterstock.com (9940)

via borzywoj/Shutterstock.com
前回「ビオワイン」についてお話しましたね!!
葡萄の有機栽培や減農薬栽培などを考えることで、栽培家の思いに触れていただけたでしょうか?

今日はワインに添加されている「亜硫酸塩」についてお話したいと思います。
この「亜硫酸塩」、とても誤解されているように思うんです。

亜硫酸塩=酸化防止剤

Maridav/Shutterstock.com (9943)

via Maridav/Shutterstock.com
100%果汁のジュースには酸化防止剤としてビタミンC(アスコルビン酸)が添加されています。
ワインにも酸化防止剤としてアスコルビン酸を使用しているものがあります。
このアスコルビン酸は自身も酸化してしまいます。その為ワインの品質維持が難しく、消費期限の記載があり安価なワインで時々見掛ける程度です。

一方の亜硫酸塩はとても頻繁に見掛けることでしょう。
この亜硫酸塩は正確には亜硫酸塩類。
食品添加物として指定されている亜硫酸塩類は5品目あります。

・亜硫酸ナトリウム
・次亜硫酸ナトリウム
・二酸化硫黄
・ピロ亜硫酸カリウム
・ピロ亜硫酸ナトリウム

ワインに使用される亜硫酸塩類は「二酸化硫黄」と「ピロ亜硫酸カリウム」に限られています。
ワインの発酵の過程においては、酵母がごく少量ですが二酸化硫黄を発生させます。
亜硫酸塩をまったく含有しないワインは存在しないことになります。

もう少し詳しく二酸化硫黄とピロ亜硫酸カリウムについてお話しますね!!
HandmadePictures/Shutterstock.com (9945)

via HandmadePictures/Shutterstock.com
ピロ亜硫酸カリウムは英語でpotassium metabisulphite (PMS)といいます。
粉状で袋入り、常温で保存可能で扱い易いものです。
ですが粉状では少し臭う程度ですが、実際に使う際に水に溶かすと特有の臭いがします。
Cakebread Cellars uses sulfur dioxide! by tellumo (9947)

via Cakebread Cellars uses sulfur dioxide! by tellumo
二酸化硫黄(SO2)は純粋な状態では液体で、プロパンガスのボンベのような缶に入っています。
すぐに気化してしまうのですが、それに触れると激しい咳と目の痛みを伴い危険な為、とても扱い難いものです。

最近の主流はピロ亜硫酸カリウム(PMS)の使用です。
ピロ亜硫酸カリウム(PMS)と二酸化硫黄(SO2)の使用の大きな違いは使用量です。

亜硫酸カリウムは投入した瞬間、糖やアルデヒド、アントシアニンなどといった物質と結合して、亜硫酸としてはほとんど効果のない物質に変化します。その為に使用量が多くなります。
(使用量を極力少なくする方法もありますから不安な気持ちにならないでくださいね)

現在、ワイン醸造においてはピロ亜硫酸の使用が主流になっています。

さてここで疑問。扱い易さもありピロ亜硫酸を選ぶのかな?と思うのですが、使用量が多くなるピロ亜硫酸塩を使うと味ってどうなの?って思いませんか?
二つの物質の仕様で味の差はあるのか、醸造家の方に質問してみました。

『味の差はあるのかも知れませんが、試したことはありません。
化学的にいうとPMS(ピロ亜硫酸カリウム)はSO2(二酸化硫黄)と一緒にカリウム(Potassium)が入るので、カリウムが酸と結びついて塩を形成します。
そしてその分pHが上がる可能性があります(ほんの少しですが)。
それによって酸度が下がりますから、もしかしたら、ほんの少し味に影響があるのかもしれません。』
※ピロ亜硫酸カリウムは、酸化カリウムと二酸化硫黄とに分解できます。
K₂S₂O₅→K₂O+2SO₂

カリウム、マグネシウム、カルシウムは、水に溶けると陽イオンとなり、酸と結びついて塩になります。
(酸と対になって働くこれらの物質を塩基と言います)
カリウムはワインの中にある酒石酸と結びついて酒石酸塩を形成して沈殿するのです。
化学的なお話なので、ちょっと難しいですね。
今日はこんな化学的なお話です。頑張ってついてきてくださいね!!
Wine Tasting At Bridlewood Wineries 102409Sa by vmiramontes (9952)

via Wine Tasting At Bridlewood Wineries 102409Sa by vmiramontes
ピロ亜硫酸カリウム(K₂O₅S₂)と純粋な二酸化硫黄(SO₂)では成分が違うことは解りますか?
化学的に成分は変わっていますが、その成分の変化を私たちは気づくのでしょうか?

化学物質の変化に対して人間が判断出来るレベルは
①何か味が変わったけど何か判らない
②味が変わって何の物質の影響か判る
この二つに分けられます。
※物質により閾値(いきち)は異なります
①をDetection Threshold(検知閾値)
②をRecognition Threshold(認知閾値)と専門的にはいいます。
ピロ亜硫酸カリウム(K₂O₅S₂)にも二酸化硫黄(SO₂)にも含まれるSつまり硫黄は、比較的閾値が低い(つまり気づきやすい)物質です。
なぜなら人間にとって生命の危険に関わる物質だからです。
ワインの香りに卵の腐った匂い(硫化水素 = H₂S)を感じたら、飲み手である私達の大半が気づきそうですね!!

それでは実際にピロ亜硫酸カリウム(PMS)と二酸化硫黄(SO₂)の使用で、味の違いに気づくことができるのか?

私がお話を伺った醸造家の方は「少しだけ酸度が下がる」けれどそれを人間が検知できるか疑問に思う。
しかし閾値は個人差があることから「もしかしたら」とお答えくださったそうです。
ですが人間が検知出来るより更に少ない量しかワインには入っておらず、人間の舌では判らないということになるのでは?と続けられました。

どちらを使用するかで味わいが変わることがあったとしても、飲み手の私達の大半がそれを判別出来るようなものではないと言えそうですね。
29 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

2色のぶどうを白ワインゼリーで閉じ込めた♡大人のフルーツテリーヌ

【動画】今回は2色のぶどうを使った大人のフルーツテリーヌをご紹介します。白ワインとサイダーのゼリーに2色のぶどうをたっぷりと閉じ込め、さらにミントとヨーグルトの爽やかなゼリーを重ねて2層のテリーヌにしました。切った時の断面に感動するはずですよ♡

富士山の麓に広がるぶどう畑で作られるみんなでシェアして飲みたい日本産ワイン!

【動画】日本初上陸のムービングレストランイベント「アウトスタンディングインザフィールド」今回のイベントで参加者を幸せな気持ちにしてくれた香り豊かなワイン。この富士山の麓に作られた「富士山ワイナリー」のオーナーが日本の厳しい環境で育てるワインについて教えてくれました。

食通が憩う隠れイタリアン「神楽坂イルカンポ」

神楽坂にある本場仕込みの隠れ家レストラン!

【ワイン特集】新しい文化の誕生、オーストリアワイン×日本料理!

今、オーストリアワインと寿司を始めとした会席料理は風味や味わいの相性が良いと注目されています!

品種の多さは果実ナンバーワン!甘くて熟した食べごろのぶどうの選び方

秋なるとスーパーやフルーツ店の店頭にはずらりとぶどうが並びます。デラウェアやマスカット、巨峰など定番のぶどうから初めて聞く新品種のぶどうまで、どれを買おうか迷ってしまうほどです。失敗のない美味しいぶどうの選び方についてご紹介します。

キーワード

ライター

ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部