2015年4月29日 更新

【ごはん映画】あなたが支払ったコーヒー代はどこへ?知らなかったコーヒーの表と裏の世界

日常的においしく飲んでいるコーヒー。自分のコーヒー代がどこに行くか知っていますか?今回はみなさんが飲むおいしいコーヒーの“裏側”をお見せします。

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よく言われることですが、物事には必ず“表”と“裏”があります。スポットライトに煌々と照らされた舞台は、その陰にある裏方の人たちの涙ぐましい努力抜きに語ることはできません。今回ピックアップした映画『おいしいコーヒーの真実』は、まさにそれを噛みしめさせてくれました。

ここ数年、日本ではシアトル系コーヒーが台頭し、また、コンビニの“100円コーヒー”が大ヒットしたり、サードウェーブコーヒー界の雄である「ブルーボトルコーヒー」が上陸して連日のように行列が生まれたりと空前のコーヒーブームが沸き起こっています。ICO(International Coffee Organization=国際コーヒー機関)の統計資料によれば、世界的にも、一人あたりのコーヒー消費量が右肩傾向にある国は多いようですね。ちなみに、映画が製作された2006年の時点で、世界中では一日に20億杯以上のコーヒーが消費されていたそう。これを年間売上高にざっくり換算すると800億ドル超。なんと、世界市場で石油に次ぐ巨大な国際的貿易商品になるのだとか。そんなコーヒーの輝かしい“表側”を映し出しながら、それと並行して“裏側”にある苦しい事実――コーヒー農家の貧困にフォーカスしたのが、この『おいしいコーヒーの真実』という映画です。
ストーリーの主な舞台はコーヒー原産国のエチオピア(エチオピアはコーヒー発祥の地ともいわれていますね)。主人公は、貧困に喘ぐコーヒー農家を救うために公正な取引を求めて奔走する一人の男。圧倒的な国際的貿易商品であるコーヒー産業の知られざる実態が、生産者から企業、消費者までの道のりを取材することによって丹念に描写されていきます。

目を見張ったのは、コーヒー豆の生産者に支払われる対価。コーヒーは消費者に届くまでに6度の取引があるそうで、その一例を具体的に述べると、生産者→バイヤー→豆の保管・加工業者→海外バイヤー→焙煎業者→小売店・カフェ→消費者ということになるのですが、コーヒーを仮に1杯330円としたら生産者であるコーヒー農家に分配される額はその僅か1~3パーセント、3~9円程度しかないのだそうです。また、コーヒー豆は農家から1キロ2ブルで取引されているようですが、1ブル=約20円なので約40円にしかなりません。また、収穫した豆の選別作業に対する一人当たりの賃金は8時間働いてたったの0.5ドル……。数字とはいかにも正直で、残酷な現実を赤裸々に物語ってくれますね。
映画の中盤、コーヒー農家に生まれた一人の青年が言います。
「僕はコーヒー農家にはならない。父が苦労しているのはコーヒーのせい。家族が惨めな思いをしているのも」

そして、その後に取り上げられるスターバックス一号店の店長のコメントがなんとも“皮肉”。「コーヒー業は地域に密着し、人々とつながる仕事なの。これがスターバックスの精神よ」。ここで語られる「地域」とは、そのスターバックスが位置するシアトルの地域を指し、「人々」とは店に訪れる客を意味していて、このコメントには恐らくそれ以上の他意はないのでしょう。けれども、先ほどの青年の言葉と対比すると、私はなんとも言えない空っぽな気持ちに襲われました。
そうかといって、私たちに何ができるのか。コーヒー豆の価格を決めているのはニューヨーク市場やロンドン市場。アフリカの貧困を食い止める最後の望みとされるWTOですら、映画の中では、“ルールに基づくはずのWTOが企業の利益を優先しようとした”と語られる――。

個人にできることがあるとしたら、それは消費者が消費者として当たり前に受け止めているライフスタイルを見直してみることなのかもしれません。例えばフェアトレードの商品を買う、というのも一つでしょう。フェアトレードは直訳すると“公正な貿易”。先に記したように、コーヒー生産者は貿易の不公正なシステムの被害者となっている現状があるわけですが、フェアトレードとは、その今まで当たり前とされていた貿易システムとは別に、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することで、1960年代にイギリスから始まったとされています。立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指そうとするものですね。残念なのは、日本ではフェアトレードの商品が決して安くないこと。欧米だとそれほど差がないようですが、日本で見かけるものは、ほぼ割高の価格が設定されています。

「生活を見直す」というのは文字で書くほど簡単なことではありません。割高のものを買うというのは自分の懐を痛めることですし、こうしてこの文章を綴っている私自身も、生産者のためになるならば!と遥か遠いアフリカの国の人々に即座に思いを寄せて、フェアトレードの商品ばかりを求めるというのは厳しい現実があります。ですが、一方で、物が溢れている時代だからこそ、自分が買っているもの、口に入れているものはどういうものなのかという自覚を持つことは非常に大切だと思います。私は、この映画に出合ってフェアトレードについて考える機会をはじめて得ました。フェアトレードの商品は見渡してみると意外と身近にあって、例えば青山の「ナチュラルマーケット」ではそのいくつかを手に取ることができました。意識を持つ。そして、フェアトレードという選択肢があることを知る。思考するきっかけを与えてもらい、私はこの作品に感謝しています。

(甘利美緒)
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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部