2015年9月15日 更新

風呂吹き大根の“風呂吹き”って、どういう意味?

大根は四季を通して使われる食材です。古くは「おおね」、「スズシロ」と呼ばれていました。大根のように白くて太い足を大根足、などと言ったりしますが、かつては「白い」というのは褒め言葉だったそうです。 『本朝食鑑』(元禄十年、1697年)には日用利益の菜とあり、効能としても毒を消し、鼻血を止め、痰を去るなど多くの書いてある万能野菜とみられていたようです。 そんな大根が秋のおかずとして載っている、揉み大根と風呂吹き大根を紹介します。

揉み大根

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皮を剥き切った大根を塩で揉んだものです。現在でも昆布や塩で軽く揉んだものが多いと思いますが、それとほぼ同じ調理法だったようです。
『古今料理集』(延宝二年、1674年)ではさっとゆでて使うとあります。
『料理珍味集』(宝暦十四年、1764年)では塩でもんで良く水気を絞った後は胡麻味噌酢で和えるとあります。
『素人庖丁』(享和三年、1803年)では塩で揉んでよく水洗いをした後、醤油か三杯酢をかけて食べると書かれています。
古今料理集のように江戸前期では茹でて柔らかくした調理法が、後年になっては塩もみに取って代わられています。
珍しいのは『卓子式』(天明四年、1784年)と言う卓袱料理の料理本でももみ大根が出ていることです。こちらは塩で揉み、絞った後は塩酢をかけるとあり、随分シンプルな料理法ですので、口直しのように使ったのかもしれません。
『魚類精進 早見献立帳』(天保五年、1834年)では鱠のように酢で揉むとあるので、余分な水気を抜く色々な調理法が取られていたようです。

風呂吹き大根

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風呂吹き大根は大根を蒸すか茹でて、味噌に漬けて食べる料理です。現在でも良く食べられている一品です。江戸時代の料理本でも、大根は汁、膾などの他風呂吹きの名前が必ずあがって入るほどです。
 この「風呂吹き」の由来については諸説あります。ひとつは、漆器の塗師職人が冬季の漆の乾きにくさに困っていた所、漆器を乾かすための「風呂」に大根の茹で汁を吹きかけると良いと教えてもらい、実際に効果があったそうです。その際の茹でた大根を近所に配った所大変に喜ばれ、風呂吹きに使われた大根、から風呂吹き大根になった、と言う説。伊勢の辺りでは垢を掻くために息を吹きかけることを風呂吹きと言い、熱々のゆでた大根をふうふう吹きながら食べる様が似ていることから、風呂吹き大根と呼ぶようになったと言う説などがあります。
 『素人庖丁』には、添える味噌に「山椒味噌、胡椒味噌、唐辛子味噌、生姜味噌、赤味噌、山葵味噌、諸味味噌、砂糖味噌、柚子味噌、フキ味噌、青のり味噌、ごまみそ、木の芽味噌」と十種類以上の味噌の名前を挙げています。淡白な味わいの大根にはどんな味噌にも合う、ということでしょうか。

(rauya)

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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部