勧進元、鯛の浜焼き
浜焼きと言うと、浜辺で火を熾して獲れたばかりの魚介類を焼いて食べる意味もありますが、これは獲れたて新鮮な鯛を浜辺で焼く料理のことでもあります。現在では塩焼きにしたものも含めて浜焼きというようです。
当初の作り方はそのまま浜辺で火で炙ったのでしょう。一方で、塩を作る時、釜へ魚を入れて蒸し焼きにしたり、塩田の熱い塩のなかに埋めて蒸し焼きにしたのが始まりとも言われています。
寛永二十年(1643)に刊行された『料理物語』は江戸時代に刊行された料理本の中で古いものの一つになりますが、「竹にてはさみ かたなめ(切り目)入塩をふりやき候」と、浜焼きは塩ふって直火にあてて焼いたのではと思われる調理法が書いてあります。
その他の料理本では塩を厚く敷いた上に身を乗せ、瓦や鍋で全体を包んで焼く方法が書いてあります。身全体を塩で包んで焼く塩釜焼きとは異なるのが興味深い調理法です。
当初の作り方はそのまま浜辺で火で炙ったのでしょう。一方で、塩を作る時、釜へ魚を入れて蒸し焼きにしたり、塩田の熱い塩のなかに埋めて蒸し焼きにしたのが始まりとも言われています。
寛永二十年(1643)に刊行された『料理物語』は江戸時代に刊行された料理本の中で古いものの一つになりますが、「竹にてはさみ かたなめ(切り目)入塩をふりやき候」と、浜焼きは塩ふって直火にあてて焼いたのではと思われる調理法が書いてあります。
その他の料理本では塩を厚く敷いた上に身を乗せ、瓦や鍋で全体を包んで焼く方法が書いてあります。身全体を塩で包んで焼く塩釜焼きとは異なるのが興味深い調理法です。
差添え、鯛の黄身焼き
別名『蝋焼き』とも言われる料理で、下味をつけて焼いた切り身に玉子の黄身を塗っては遠火で乾かすのを何度も繰り返し、蝋がかかったように焼く料理です。
『素人庖丁』(享和三年、1803)では蝋焼きの調理法として、串に刺した切り身を白焼きにし、表面に溶いた卵を塗って遠火で焼くとあります。酒の肴にする場合は、身に塩を振るのが良いとしています。
現在では黄身だけではなくみりんや味噌などを加えて風味をよくしてあるのがほとんどですが、かつては卵の黄身だけだったようです。また黄身焼きに使う魚も、鮎、いか、あわび、海老の他、太刀魚なども使うようです。黄身やみりんや味噌の風味が引き立つように、淡白で身が白い魚介類が適している料理かも知れません。
『素人庖丁』(享和三年、1803)では蝋焼きの調理法として、串に刺した切り身を白焼きにし、表面に溶いた卵を塗って遠火で焼くとあります。酒の肴にする場合は、身に塩を振るのが良いとしています。
現在では黄身だけではなくみりんや味噌などを加えて風味をよくしてあるのがほとんどですが、かつては卵の黄身だけだったようです。また黄身焼きに使う魚も、鮎、いか、あわび、海老の他、太刀魚なども使うようです。黄身やみりんや味噌の風味が引き立つように、淡白で身が白い魚介類が適している料理かも知れません。
西の前頭四枚目、鯛のしんじょ
浜焼きや黄身焼きはいわば殿堂入りするほどの料理という位置づけですが、しんじょは異なり、前頭にランキングされているものです。ランキング上位には鯛の吸物などがありましたが、少し違った料理を上げてみました。
しんじょはくずし物と呼ばれる料理の一つで、魚のすり身につなぎとして玉子の白身や山芋の擂ったもの、葛などを混ぜて加熱したものです。
江戸の料理本では煮るか蒸すのがほとんどですが、油で揚げたりするのも美味しい一品です。使う材料もエビやカニなどの他、鯛をはじめとした白身の魚や鶏肉などを使うこともあるそうです。『料理簡便集』(文化三年、1806)では、ハモを使っています。
形も現在では丸くしたものを多く見かけますが、『料理簡便集』では湯に底のない四角い枠を入れ、そこに流しいれて茹でるとあります。また『四季献立 会席料理秘嚢抄』(天保十三年、1842年)では方形の箱に入れて蒸すとあるので、四角いしんじょもあったようです。あとから好きな形に切ったのかも知れません。
食べ方もそのまま醤油や薬味をつけたり、汁の具にしたりしたのではないでしょうか。
(rauya)
thumbnail pictures by Eskymaks /Shutterstock.com
しんじょはくずし物と呼ばれる料理の一つで、魚のすり身につなぎとして玉子の白身や山芋の擂ったもの、葛などを混ぜて加熱したものです。
江戸の料理本では煮るか蒸すのがほとんどですが、油で揚げたりするのも美味しい一品です。使う材料もエビやカニなどの他、鯛をはじめとした白身の魚や鶏肉などを使うこともあるそうです。『料理簡便集』(文化三年、1806)では、ハモを使っています。
形も現在では丸くしたものを多く見かけますが、『料理簡便集』では湯に底のない四角い枠を入れ、そこに流しいれて茹でるとあります。また『四季献立 会席料理秘嚢抄』(天保十三年、1842年)では方形の箱に入れて蒸すとあるので、四角いしんじょもあったようです。あとから好きな形に切ったのかも知れません。
食べ方もそのまま醤油や薬味をつけたり、汁の具にしたりしたのではないでしょうか。
(rauya)
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