2015年8月11日 更新

こっくり煮るのが美味しい秋のおかず

 今でも十分美味しいと思えるおかずが満載のおかず番付『日々徳用倹約料理角力競』から、秋のおかずを紹介します。

いもの煮ころばし

筆者 (10579)

via 筆者
 里芋などを煮て煎り付け転ばしたもので、名前の「ころばし」は「ころがし」になったのだと思われます。今でも普通に作られているもので、家庭の味と言えば芋の煮っ転がしが上がるのではないでしょうか。
 サトイモは『本朝食鑑』(元禄10年、1697年)によれば、月見の御備えとして、そして正月の雑煮に入れるものとあります。煮れば甘くなるが、多くは食べない方が良い、冬は別だとあります。
 『当流節用料理大全』(正徳四年、1714年)の効能には【諸病の毒で、腸胃を緩くし気を下す(中略)子供には食べさせないこと。但し冬だけは食べた方が良い】と、こちらも冬の食べ物として勧めています。
 煮ころばしの作り方は、『古今料理集』(延享二年、1674年)に詳しく、出汁に酒醤油を入れ、塩を少し強めに塩梅した煮汁で芋を煮、煮汁を煮詰めて煎りつけるようにして作るとあります。出す際に、山葵か生姜をおろしたものを入れ、さっと炒りつけて出します。
 『古今料理集』には、【ころばしばかりは他の野菜などと煮合わせずに芋ばかりで作るのが良い】と書いてあります。

 出汁、醤油・酒の和風の味付けも美味しいですが、ごま油に鷹の爪を少し入れた、ピリ辛中華風も美味しいと思います。

ごぼうの太煮

筆者 (10582)

via 筆者
 けんちん汁を始めとした汁物の具に、煮物、炊き込みご飯まであらゆる料理に使える材料のごぼう。おかず番付の秋の項目にごぼうの太煮が紹介されています。
 『和漢三才図会』(文政7年、1824年)によれば、【牛蒡は人に はなはだ益あり】と書かれている野菜です。『本朝食鑑』でも強陽滋腎の薬、と書かれています。『当流節用料理大全』の能毒書では「十二経にやくをつうじ。五臓六腑の悪物を去る。常に食せば薬也」とあります。
 さぞ昔から食べられている野菜だと思いますが、元々は自生していないもので、平安時代ごろに日本に伝わり、主に食べられ始めたのは、江戸時代からだと言われています。抗酸化作用のあるポリフェノールと食物繊維を含み、ハーブや漢方薬としても使われるほどです。

 牛蒡の料理法としては『料理網目調味抄』(享保十五年、1730年)に汁の具、羹(あつもの)、太煮が上がっています。
 この太煮は文字通り「太いまま」煮る料理で、ごぼうの他、にんじん、ウド、カブなども大きめに切ったものを煮るものを太煮と呼んでいるようです。
 『素人庖丁』(享和三年、1803年)、『精進献立集』(文化十五年、1818年)にも牛蒡の太煮が出ていますが、米のとぎ汁で下茹でして、みりん醤油で汁けが半分ほどになるまで良く煮ます。そこへ葛でとろみをつけ、仕上げに青のり、また山椒や胡椒をかけて出すとあります。

 葛でとろみをつけなくても、汁気が無くなるまで良く煮ると牛蒡にこっくりとした醤油味がついてこちらも美味しいと思います。

(rauya)


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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部