2015年4月16日 更新

【ごはん映画】自然と腹の虫が「ぐう」と鳴る『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』

【コラム】"食"にまつわる映画を紹介する「ごはん映画」の連載、今回は『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』。 一流レストラン総料理長から屋台・フードトラックの親父へ華麗なる転身!? 食いしん坊にはハッピーこのうえない映画です!

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過去に取材でお会いしたシェフの一人が筆者に言いました。

「料理をしていて一番幸せを感じるのは、お客様から『今日は楽しかった』と声をかけていただいたときです」

その彼曰く、今や飽食の時代で「おいしい」のは当たり前。自分が料理人として志したいのは「人の記憶に刻まれるヒトサラを作ること」。「楽しかった」という言葉には、それが集約されているのだそうです。

現在、公開中の映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』の主人公、カール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)も、本来はそういう料理人でありたいと願っていた人物。しかしながら、彼の置かれている状況がそれを許しません。彼は高級レストランの総料理長で、ロサンゼルスにおいて一、二を争う人気シェフながら、雇われの身であるがゆえに、店のオーナー(ダスティン・ホフマン)に言われるままに定番料理を作りつづけることを余儀なくされています。

そんなある日、有名な料理研究家ラムジー・ミシェル(オリヴァー・プラット)から予約が入り、キャスパーは斬新なメニューでアッと言わせたいと考えます。……しかし、オーナーから「メニューを変えることは許さない」と言われ、やむなくいつもの“マンネリ料理”を提供。すると、それを口にしたミシェルにツイッターで酷評されます。キャスパーは怒り心頭に達し、店の客席で大暴れ。その動画がネットで拡散されて(こういう演出は今っぽいですね)、挙句の果てに店を辞めざるを得なくなります。

で、ここから物語はマイアミを始点にアメリカ南部をめぐるロードムービーに変容します。無職になったキャスパーはフードトラックを手に入れて、10歳の息子パーシー(エムジェイ・アンソニー)と一緒に移動販売をスタート。キャスパーはさまざまなローカルフードをメニューに取り入れて、屋台を繁盛させていきます。

この道中において父が息子に語りかける言葉がなんとも印象的。

マイアミ名物のキューバサンドイッチを一緒になって作るシーンです。売り物としてはやや不完全な状態のサンドイッチを、そのまま客に提供しようとする小さな息子に対して父はこう諭します。

「料理に必要なことは人の心に触れることだ」

味も大事。でも、それ以上に想いを伝えることが大事。そうでなければ、人の記憶に刻まれる料理とはなりえない。冒頭でご紹介した話と通じる、料理人魂がこのセリフには表れているような気がします。

ところで、劇中に登場する「おいしいものたち」も本作の大いなる見どころです。

まずは、キャスパーのフードトラックの看板メニューであるキューバサンドイッチ。細長いロールパンにハムやローストポーク、スイスチーズを挟んで焼いて、仕上げにバターを塗って作られる、マイアミの名物です。映画の公式サイトに料理研究家のコウケンテツさんが監修した特製レシピがありますので、ぜひ参考に!
http://chef-movie.jp/post/108000002054/el-jefe

それから、ルイジアナ州のニューオリンズに実在する老舗カフェ「デュ・モンド」の看板メニュー、ベニエも見逃せません。粉砂糖がたっぷりかかった揚げドーナツは観ているだけで食指が動かされます。

さらにはテキサスBBQ。そもそもBBQはテキサス州のミートマーケットで始まったとされる料理です。この映画では、ビーフブリスケット(日本でいえば肩バラ肉)を24時間、炉の中に入れて炭火で真っ黒にスモークしたものが登場します。

ほかにもペペロンチーノ、クロックムッシュ、ソーセージサンド、ハッシュポテト・ベーコンエッグのせなどなど、シズル感たっぷりの料理は枚挙にいとまがありません。エンドロールが流れる頃には、自然と腹の虫が「ぐう」と鳴る。食いしん坊にはハッピーこのうえない映画、なのです。

(甘利美緒)
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『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』 公開:2月28日(土)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部