2015年7月9日 更新

暑い夏。食べて身体を冷やし、調子も整える。夏バテする前に食べたい、江戸時代の夏のおかず

身体の調子を整えるにはまずは「食」から。バランスよく、旬のものを食べることでたくさんの栄養素を取り入れることができます。

江戸時代のおかずの人気ランキング

『日日徳用倹約料理角力取組』は相撲番付に模した、江戸時代のおかずの人気ランキングです。江戸の人たちが普段何を食べていたのかの一端を知ることが出来ます。
 今回は、番付の内、夏のおかずとしてランクインしたものを、『精進方(野菜類)』から冬瓜葛煮、『魚類方(魚介類)』から鯖の船場煮の二品について見て行きたいと思います。
写真素材 足成 (9443)

 現在でも夏は暑くて食欲が湧かなかったりする時期ですが、江戸の夏でも温度の差はあれ似たようなものだったのではないでしょうか。庭のある家に住む人は盥に水を溜めて行水することで涼を取ったり汗を流したりしましたが、ぎゅうぎゅうに身を寄せ合って建っているような長屋では、行水をしようにも庭すらありません。蚊遣り(煙で蚊を追い払う、昔の蚊取り線香)を焚きつつ、団扇をいくらあおいでも、温い風がくるばかり。
 そんな時は、体の中から冷やしてくれるものを食べるのが一番。江戸の人たちは古くからの食生活や、江戸時代全体を通して出版された料理本などで効能を知っていたのかもしれません。

冬瓜葛煮(とうがんくずに)

image by 筆者 (9446)

via image by 筆者
 夏によく食べられる一品、冬瓜と鳥そぼろのあんかけ料理から、冬瓜葛煮は現在でも何となくイメージのつきやすい料理だと思います。冬瓜は身体を冷やす夏の野菜ですので、ランクインするのも頷けます。
 葛は現在でも良く知られているマメ科に属する植物で、根にある塊からでんぷんを取り、とろみ付けや葛きりや葛湯といった菓子などに使われてきました。また、一方では根と花は漢方にも使われています。葛根は風邪にも使われますが、『本朝食鑑』(元禄八年、1695年)では葛粉にも解熱、胃の不調を整えるなど多くの効用があると書かれています。
 食欲が衰える夏にはぴったりの一品ではないでしょうか。江戸時代ではただの葛煮としか記述がありませんので推測ですが、だし汁や醤油で味をととのえて冬瓜を煮込み、葛でとろみをつけたものだと思われます。

船場煮(せんばに)

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via image by 筆者
 船場煮は、船場煎、船場汁とも呼ばれる煮込み料理です。
 『古今料理集』(延宝二年、1674年)では、出汁に煎り酒を十分の三ほど加え、醤油を少し濃いに味をつけ、材料を入れて煮て、出しなに少し酒を加えて供するとあります。
 一三〇年経った『料理早指南』(享和元年、1801年)でも酒と醤油を使うほぼ同じ作り方です。材料としては大根を薄く切ったものと一緒に煮る、出汁しょうゆ味の煮物と言うことのようです。
 野菜は大根が主のようですが、メインの材料は魚でも鳥肉でも大丈夫なようです。江戸時代の料理本では、本膳料理や懐石料理の煮物に、色々な材料で船場煮が例示されています。
 ここで旬の鯖はゴマサバ、あるいは塩蔵加工をしたものだと思われます。鯖は有名なDHAを豊富に含みますが、脂分を多く含むがゆえに足が速い魚です。昔は大量に獲れたりすると、傷んでしまう前にと漁師もろくろく数も数えずに売ったと言うのが、「サバを読む」の語源だと言われるほどの魚でした。
 身体を冷ます効果のある、夏大根と合わせてランクインしたのではないでしょうか。

 大根は四季を通して食べられる野菜で、切り干し大根や漬物、大根おろしなど色々な料理に使われます。『本朝食鑑』では冷やしても加熱しても良く、魚肉、酒、豆腐の毒を消す効果があると書いてあります。江戸時代の料理本では刺身に大根おろしを添える例が多くありますので、その効能は良く知られていたのかもしれません。


(rauya)
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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部