2017年9月22日 更新

メンマもくず餅も実は発酵食品!? 発酵の定義について発酵デザイナーに尋ねてみた

知っているようで知らない「発酵」のひみつVOL.1

健康ブームでいま発酵食品に関心が集まっている。ワイン、日本酒、キムチ、醤油などいろいろと思い浮かぶが、調べてみるとほかにも様々な発酵食品が身の回りにあるようだ。しかし、そもそも「発酵」とはなんだろう。「発酵デザイナー」を名乗る小倉ヒラクさんに聞いてみた。

取材班が訪れたのは山梨県塩山市の山腹。ここに彼の自宅兼発酵ラボがある。
発酵デザイナーの小倉ヒラクさん(34歳)

発酵デザイナーの小倉ヒラクさん(34歳)

彼は標高800メートルの山腹にある築70年の廃墟を改装し、2年半前にここに移り住んだ。
背後にキッチン兼ラボが見える

背後にキッチン兼ラボが見える

さっそくですが小倉さん、「発酵」の定義とはなんでしょう。

「広義と狭義がありますね。広義では『人間に役に立つ微生物の働き』。発酵食品には糖分やアミノ酸などの栄養、味覚を刺激する有機酸類などがたくさん含まれているんです」

食品以外でも藍染、胃薬、堆肥、水質浄化なども幅広い領域で発酵技術が使われている。

「藍染はインディゴ菌と呼ばれる微生物が藍の葉っぱの色素を一時的に引っ張り出して布に色素を定着させる。胃薬は酵素の力で消化を促す。堆肥は微生物が植物や動物の排泄物の有機物を分解して作られる。生活排水は微生物の力で浄化されます」
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では、狭義では?

「『呼吸光合成に次ぐ第三のエネルギー獲得経路』ですね。つまり、光も酸素も使わないでエネルギーを作り出すこと。酵素が何かを分解してエネルギーを獲得する過程で媒介を必要としないのが発酵なんです」

ちなみに、発酵と腐敗は違いはといえば、原則的には糖類が分解されて乳酸やアルコールを生成するのが「発酵」で、タンパク質などが分解されて硫化水素やアンモニアが発生するのが「腐敗」だという。

「とはいえ、単純には分類できない部分もあって。たとえば、くさやにはアンモニアが出ているし、腐った食べ物から有機酸類が出ることもあります。また、国によっては納豆は腐ったものと見なされるそうです(笑)。従って、物理的な定義とは別に文化的な要素が関与して『発酵』と『腐敗』の違いが生じるということです」

メンマ、くず餅、鰹節も発酵食品だった

小倉さんによれば、発酵をもたらす「メジャーな菌」は酵母、乳酸菌、酢酸菌だ。
「この3つは世界中のどこでも見られます。さらに、東アジアで特有な菌は納豆菌と麹カビ。それ以外にもよくわからない菌もいっぱいいて奥が深い世界なんですよ(笑)」

発酵食品といえばすぐに思い浮かぶのが、パン、ヨーグルト、味噌、キムチなど。しかし、タイトルにもあるように身の回りには「えっ、これも発酵食品なの?」というものが数多くあるらしい。

「メンマはタケノコを乳酸発酵させたものです。また、いわゆる関東のくず餅は小麦粉デンプンを乳酸菌で発酵させて作ります。葛粉から作られる和菓子の方の葛餅は発酵食品じゃないですね」
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メンマに似たものでザーサイはアブラナ科の植物の茎の根元を発酵させた漬物だという。

「あと、鰹節も発酵食品。鰹節には2種類あって、カビを使って熟成させた『枯節』、カビを使わない一般的な削り節は『荒節』などと呼びます。もともとの製法は発酵させて作っていました。鰹を燻製にして麹カビをくっ付けて水分を抜き取る。それと同時に旨味を凝縮させる。それを3年ぐらいやるんです」
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ただ鰹節って一番使いやすいのは花鰹と枯れ節を1対1で混ぜる。そうするといいとこ取りできる。

『枯節』は旨味が凝縮されてていて匂いは臭い。一方で、『荒節』華やかな香り。これをミックスして使うのがバランスがよくて、料亭などでそうしているそうだ。
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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部