ダージリンティーには3種類の茶葉があります
皆さんおなじみのダージリンティーですが茶葉を摘む時期によって3種類に分けられます。まず春の訪れとともにその年最初に収穫された茶葉をファーストフラッシュ、5~6月に摘まれるセカンドフラッシュ、そして秋に摘まれるオータムナムルです。
今回取り上げるこのファーストフラッシュですがFirst Flushという言葉から一番目の芽吹き、すなわち一番茶と訳されることもしばしばですが、厳密にはファーストフラッシュとは季節を感じさせる”春摘み茶”なのです。
今回取り上げるこのファーストフラッシュですがFirst Flushという言葉から一番目の芽吹き、すなわち一番茶と訳されることもしばしばですが、厳密にはファーストフラッシュとは季節を感じさせる”春摘み茶”なのです。
ファーストフラッシュの茶葉は紅茶なのに緑色です
春に摘まれるファーストフラッシュの茶葉は緑色で、お茶の色も丁度緑茶の様に緑色です。茶葉に含まれる成分の違いで色が違うという意見もある様ですが、そうではありません。ファーストフラッシュでもしっかりと発酵させればオータムナムルの様にゴールデンリングが出来るほどオレンジから茶色の深い色合いに仕上げることができます。反対に秋に摘まれたオータムナムルでも製法のコントロール、すなわち発酵のさせ方によってはファーストフラッシュの様な緑色にしあげることが可能です。
ファーストフラッシュと萎凋(いちょう)時間と発酵
萎凋とは聞きなれない言葉かもしれません。茶葉を静かに置く、または風を当てることで茶葉をゆっくりとしなびさせる事です。最大の目的は脱水ストレスによって茶葉に含まれる酵素を活性化させ、花のような香りを作り出すことですが、茶葉の水分量を調節することにより茶葉の発酵の度合いを変えるという意味でも大切な工程です。水分量が下がれば下がるほど、茶葉の酵素は発酵しにくくなります。水分量を下げ、茶葉を揉みやすくすることと同時に発酵をあまり進ませないためにファーストフラッシュの茶葉は萎凋時間を長くとります。揉捻(じゅうねん)の後発酵が行われますが、比較的短い時間で仕上げます。発酵工程に長い時間をかけても前述の通り水分量が少ないため発酵があまり進みません。ですから茶葉もお茶の色もフレッシュな緑色をしています。
ファーストフラッシュと環境の低い温度
ダージリンティーの収穫される場所を皆さんはご存じでしょうか?インドの西ベンガル州、ヒマラヤ山脈低部のシワクリ丘陵、平均標高は2,134mの位置にあります。ですからファーストフラッシュが摘まれる2月3月のダージリンはまだまだ極めて寒く、朝夕の気温は10度にも満たない日があるくらいです。勿論このような低温の環境では発酵は進みにくく、かえって茶葉を深く発酵させるには発酵室の温度や湿度の管理が必要になります。ファーストフラッシュは環境にマッチした製法なのかもしれません。
春だけに味わえる紅茶
ファーストフラッシュは烏龍茶などと同じ半発酵茶です。紅茶とは呼べない程にフレッシュな緑色をしています。春のある一定の時期にしか製造できないファーストフラッシュ、是非来年は試してみることをお勧めします。
thumbnail pictures by Gorenkova Evgenija /Shutterstock.com
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