「いらっしゃいませ、デニーズへようこそ」という挨拶とともに席まで案内される。「ああ、デニーズに来たんだな」と思う瞬間だ。
デニーズはロイヤルホスト、すかいらーくと並ぶファミレス御三家のひとつだが、他の2チェーンと異なるのは「アメリカ直輸入」という点。
デニーズはロイヤルホスト、すかいらーくと並ぶファミレス御三家のひとつだが、他の2チェーンと異なるのは「アメリカ直輸入」という点。
いまや全米最大規模を誇るファミレスチェーン・デニーズは1953年に米・ロサンゼルス郊外で誕生した。いわゆる「コーヒーショップスタイル」のレストランチェーンで、以降、ロードサイドを中心に展開し、現在では全米で約1700店舗まで増えた。
日本では外食が家族にとってハレの行事だった70年代初頭、総合スーパーのイトーヨーカ堂(現・セブン&アイ・ホールディングス)は新たなサービスブランドを探していた。そこで浮上したのがレストランチェーン構想だ。
同社は1973年に米・レストラン大手のデニーズ社と技術援助契約を結び(1984年に商標権を買い取り、契約解消)、デニーズジャパンを設立。翌1974年4月、横浜市のイトーヨーカドー上大岡店1階に初の日本店舗となる1号店をオープンさせた。
同社は1973年に米・レストラン大手のデニーズ社と技術援助契約を結び(1984年に商標権を買い取り、契約解消)、デニーズジャパンを設立。翌1974年4月、横浜市のイトーヨーカドー上大岡店1階に初の日本店舗となる1号店をオープンさせた。
当時最先端のロードサイド1号店の上大岡店あれこれ
華々しくオープンしたデニーズ1号店の立地は、京急本線上大岡駅から徒歩10分ほどの住宅地。車社会の発展によって生まれた、当時としては最先端のロードサイド型レストランだった。
「米デニーズ社との契約上、メニューや制服も本家と同じ。今では一般的に『ファミリーレストラン』とくくられますが、社員やスタッフの間ではアメリカ直輸入の『コーヒーショップスタイルレストラン』という意識が強かったと聞いています」(セブン&アイ・フードシステムズ販売促進部・諏訪美紀子さん、以下同)
メニューにはステーキ、ハンバーガー、サンドイッチ、スープ、サラダボールなどの“わくわくするようなごちそう”が並び、「朝、昼、晩の食事をご家族で楽しめる全く新しいタイプのレストランです」とある。
たとえば、ステーキは、当時アメリカで一般的だった「トップラウンド」という内モモ肉を使用し、価格は1500円。「意外とリーズナブル」と思ったが、当時の大卒初任給が8万円弱の時代だから、なるほど、ごちそうである。
なお、この記念すべき1号店はイトーヨーカドー上大岡店の閉店に伴い、2017年3月に閉店。閉店を惜しむ客で連日行列ができたという。