2017年9月5日 更新

いちごショートケーキ発祥はここ? 「不二家」喫茶店としての歴史

西洋のハイカラをいち早く取り込んだ「不二家」VOL.1

キャラクターのペコちゃんでおなじみの洋菓子店「不二家」。しかし、じつは日本の喫茶店、レストランの先駆けであることをご存知だろうか。

1910年(明治43)、藤井林右衛門が横浜・元町に小さな洋菓子店「FUJIYA」をオープンさせた。まだなじみの少なかった西洋のお菓子を一人でも多くの日本人に味わってほしいという思いからだった。
当時の横浜・元町。右上に「FUJIYA」の看板が見える...

当時の横浜・元町。右上に「FUJIYA」の看板が見える (C)新関コレクション

さらに、第一次世界大戦による好景気の中で喫茶室を新設した。インテリアはアメリカから直輸入したモダンなもので、さらに持ち手を下に押さえるとソーダ水が出てくるくる「ソーダ・ファウンテン」を導入し、話題を呼んだ。そして、1923年(大正12)には念願の銀座進出を果たす。

「不二家」という屋号は富士山を意識しており、「不二」には2つとない存在という意味も込められている。屋号の頭文字であるFを意匠化したハイカラなロゴは、20世紀を代表する産業デザイナー、レイモンド・ローウィによるもので1961年(昭和36)に完成。「ファミリーマーク」と呼ばれ、「不二家」のシンボルとなっている。

1910年(明治43)にクリスマスケーキを販売

ところで、藤井林右衛門という人物は何者なのだろうか。不二家広報室の上田博子さんは言う。

「彼は愛知県出身なんですが、16歳で横浜に出てきて古物商の奉公人として働き始めます。商売的には外国人が引っ越した後に残った家具を中古品として売ったり、鉄くずなどを取り扱ったり、今でいうリサイクルショップのようなものですね」(上田さん、以下同)

1年後に大旦那が亡くなったのを機に、店を任されるようになる。さらに、ひょんなことから日本人の洋菓子職人と知り合い、独立開業して日本ではまだ珍しかった洋菓子店をオープンさせた。25歳の時である。

「リッチな外国人は家に料理人がいるので、その頃洋菓子を扱っている店は少なかったんです。一方でハイカラな食文化に憧れる日本人には人気が出そう。そんな勝算もあったんでしょうね」

メニューは自分でも考えたし、外国人シェフに知恵を借りることもあった。さらに単身アメリカに飛んで働きながら現地の菓子や喫茶事情を視察した。なお、オープンした年にクリスマスケーキを販売している。
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創業時のクリスマスケーキ(復元/上)とオリジナルショ...

創業時のクリスマスケーキ(復元/上)とオリジナルショートケーキ(現在/下)

白いものは生クリームではなく、プラムケーキ(フルーツケーキ)に砂糖の衣をかけたものだ。なお、店内には小さなイートインスペースもあった。いわゆる、喫茶店の先駆けである。

ショートケーキは日本独自の洋菓子だった!?

さらに同じ横浜の伊勢佐木町に2号店を出した1922年(大正11)にショートケーキを販売している。これも日本初だと言われている。

「ただ、皆さんよく勘違いされますが、私たちになじみのあるあのスポンジケーキ、ホイップクリーム、いちごという取り合わせのケーキは不二家が開発した日本独自の洋菓子だと言われています。大正時代の原型となるショートケーキにはバタークリームのような濃厚なクリームが使われていました。当時、いちごを使っていたかどうかはわかりません」
1958年頃に「不二家」店頭に並べられたショートケーキ

1958年頃に「不二家」店頭に並べられたショートケーキ

ショートケーキという名前の由来については、イギリスのショートブレッドというクッキーのようなお菓子から、「ショートニング」に由来するから、短時間(ショートタイム)で作れるからなど諸説あるという。

「ちなみに、ショートケーキが今のように不二家のナンバーワン商品になったのは昭和40年代後半。(バタークリームから今のような生クリームやイチゴを使うようになったのは)これには景気の上昇や冷蔵庫の普及など、様々な要因があると思います」

「不二家」のショートケーキは徐々に進化を遂げ、60年前に完成形となる。

銀座のイメージが強いが、実は横浜で生まれ育った飲食チェーン

「不二家」といえば、東京の晴海通りと外堀通りの交差点に立つ数寄屋橋店が有名だ。そのため、銀座の象徴というイメージがある。
存在感のある数寄屋橋店屋上の看板

存在感のある数寄屋橋店屋上の看板

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ビデリシャス編集部 ビデリシャス編集部